パリの湧き水

    1. フランス旅行・観光

    飲み水になるような湧き水といえば自然豊かな森の中の上流をイメージしますが、実はパリでも飲めるってご存知ですか?

    今回はパリ地元民に愛される、そんな泉の情報を覗いてみましょう。

    空ボトルを持って水汲みへ!

    今日の花子さんとマリーさんは一緒にお出かけ中。空ボトルを手にどこへ行くのでしょうか?

    会話

    Marie : Elle doit être par ici, la fontaine…

    水汲み場はこのあたりのはずなんだけど…

    Hanako : Là-bas, il y a une place. Elle doit être dedans.

    あそこに広場があるわ。きっとその中にあるわよ。

    Marie : Elle doit être en face de la piscine…Ah, tu as raison, on l’a enfin trouvé.

    プールの正面にあるはずなのよ…ああ、あなたが正解よ、やっと見つけたわ。

    Hanako : C’est bien celle-là, la fontaine qu’il s’agit ?

    その水汲み場って、本当にコレの事なの?

    Elle est très moderne. Je l’ai imaginé beaucoup plus rustique.

    とても現代的なのね。もっと田舎風のものを想像していたわ。

    Marie : Comme un puits à poulie ?

    例えばつるべ井戸のような?

    Hanako : Oui, quelque chose de ce genre.

    ええ、そんな感じのものよ。

    Marie : En fait, il est le puits artésien.

    ええっとね、これは掘り抜き井戸なのよ。

    Hanako : Qu’est-ce que ça signifie “artésien” ?

    “artésien”ってどんな意味なの?

    Marie : “Artésien” est un adjectif d’un ancien nom de région “Artois”.

    Artésien“は”Artois“っていう昔の地方の名前の形容詞よ。

    C’est un style de puits où l’eau est puisé très profondément. 

    水をとても深いところで汲み上げらシステムの井戸なの。

    C’est pour cela qu’il sort tout seul avec la pression.

    だから水は圧力で自動的にでてくるのよ。

    説明: フランスの井戸の構造を示す図。

    ポイント

    le puits à poulie 

    puits」は「井戸」、「poulie」は「滑車」のことです。井戸と言われてぱっと思い浮かべる形はこれではないでしょうか。

    le puits artésien

    artésien」は「Artois」という昔使われていた地方名の形容詞。現在の北フランスの県「Pas-de Calais」の辺りです。

    le puits artésien」は「Artois の井戸」となりますが、これは「掘り抜き井戸」の事を指します。

    このタイプの井戸がフランスで使われ始めたのが、中世時代の「Artois」でのこと。そのため、地方名がそのまま井戸の名前となったということですね。

    パリの泉

    場所

    パリには「le puits artésien 掘り抜き井戸」が3箇所あります。もちろんどれも無料なので、地元の人が空ボトルを手に、毎日の飲み水を汲みに来るのを見ることが出来ますよ。

    Place Verlaine

    Place Paul Verlaine 75013

    Métro:Corvisart ou Place d’Italie

    Square Lamartine

    193 avenue Victor Hugo, 75016

    Métro:Rue de la Pompe

    Square de la Madone

    Rue de la Madone, 75018

    Métro:Marx Dormoy

    水の入ったグラスを掲げるフランスの女性。

    水質

    パリにある井戸の水なんて飲めるの?なんて心配になってしまいますが、これらの井戸はパリの地下深くに広がる「nappe 地下水の層」から汲み上げられています。

    13区にある「Place Verlaine」の井戸の場合は582m、18区のモンマルトルの丘に位置する「Square de la Madone」では700m以上もの深さに位置する地下水なんですよ。

    パリの公害なんて届かない深さに位置する水であるということですね。

    パリの水道水よりカルシウムが少なく、硬水に慣れない日本人でも飲みやすい味といえそう。紅茶やコーヒーなどを美味しく淹れたい人たちは、わざわざ汲みに来るともいわれています。

    カルシウムは少なくても健康に欠かせないミネラルはきちんと含まれています。そんな水が無料なんて、近所に住んでいる人がうらやましくなってしまいますね。

    ただパリ地下の「nappe」の水は本来、鉄分が豊富に含まれる水。健康に問題が無い含有量まで減らす処置がされていますが、それでも赤ちゃんへの飲み水には適していないようです。

    保存

    フランス人でも知らない人が多いパリの井戸。パリに来たら飲んでみたくなりませんか?

    そしてちょっと変わったお土産に…とも考えてしまいますが、24~28時間を越えた保存をしないようにといわれているようです。

    持って帰るのは諦めて、思い出をお土産話にするのがよさそうですね。

    使えるフランス語をカフェで習得
    何度でも聞ける1対1レッスンはコスパ最強
    【先生を選んで、無料体験する!】

    開く

    この記事を読んだ方はこんな記事も読んでいます

    フランスの背景には、エッフェル塔があります。

    フランスのトイレ事情

    フランスで困ることの1つに外出時のトイレ事情があります。きれいで無料なトイレが至るところにある日本と比べると、まさしくカルチャーショック!今回はそんなフランスの…