フランス語でそのまま使われる日本語

    1. フランス語単語

    自国の言語にこだわりがあり、外来語をそのまま使うことが少ないのがフランス。

    ところが日本の食べ物の中には、そのままの名称で愛されているものもあるんですよ。

    レストラン 寿司・焼き鳥

    フランスで日本料理といえば「寿司・焼き鳥」。外国の料理にそれほど関心のない人でも知っているほどポピュラーな日本語です。

    会話

    Marie : Est-ce que tu veux aller déjeuner au restaurant avec moi?

    一緒にレストランへランチに行かない?

    J’ai envie de manger des sushis !

    お寿司が食べたいわ!

    Hanako : Euh…

    う~ん…

    Marie : Tu n’aimes pas les sushis ?

    お寿司は嫌い?

    J’ai trouvé un bon restaurant japonais, proche de la station de métro.

    地下鉄の駅の近くに、おいしい日本料理のレストランを見つけたのよ。

    Hanako : C’est un restau avec des yakitoris ou pas ?

    それって焼き鳥も食べられるところ?

    Marie : Bien sûr. Je les aime autant que les sushis.

    もちろん。焼き鳥もお寿司も同じくらい好きだわ。

    Hanako : En fait, j’ai plutôt envie de manger des tempuras aujourd’hui.

    えっと、今日はむしろ天ぷらが食べたい気分かも。

    On peut peut-être essayer la formule déjeuner en forme du bento d’un autre restaurant ?

    違うレストランの、お弁当に入ったランチセットを試してみない?

    ポイント

    restau

    restau」は「restaurant レストラン」を略した話し言葉。若者だけでなく使う人が多い単語です。

    ちなみに大学の学食は「resto U(Universitaireの略)」と呼ばれ、学生なら3.25ユーロ(パリ)で前菜・メイン・デザートのランチがいただけます。

    学生以外でも使用できるところが多いので(8ユーロ弱)一般的なフランスの食事内容を覗きに行ってみるのも楽しいですよ。

    formule déjeuner

    formule」は「書式・決まり文句」などの意味でよく使われますが「déjeuner 昼食」とセットにすると「お昼の定食」となります。

    いわゆる「menu コース料理」を提供していないレストランでも、ランチタイムにはお得なセットメニューが登場するのは日本も同じですよね。

    軽食を提供する「cafeteria カフェテリア」や「sandwicherie サンドイッチ屋」では、ドリンクとデザートがセットになった「formule déjeuner」を提供するお店が多いようです。

    日本料理ブーム

    寿司職人がフランスから来た寿司の皿を持っています。

    フランス人に人気の日本食

    こってり濃厚な料理からさっぱり風味の料理へと、フランス料理もヘルシー路線が人気。ダイエットに勤しむフランス人も多く、おいしければ高カロリーでもOKとは言えなくなってきています。

    そんな中、日本料理はヘルシーと世界的に大人気ですよね。もちろんフランスでも寿司・焼き鳥といえば知らない人がいないほど。

    他にも天ぷらやラーメン(これは日本語ではありませんが…)少し詳しい人で、そばやうどん・おにぎりなどフランス語に訳さずそのまま使われることが多い料理名があります。

    実際には人気のある料理はヘルシーでない場合が多いのが残念。

    分かりやすくはっきりとした味がしないと「C’est fade 味がしない」と言われてしまうので仕方がないのかもしれません。

    sushi

    さて一番人気はやはりお寿司ですが、単数でなく複数で「sushis」と表す場合が多いようです。フランス人に理由を聞いたところ、寿司には色々な種類があるから、と言っていました。

    「シュシ」と発音されるのが普通ですが、日本通のフランス人は「スシ」と正しく発音してくれる人も居ます。

    bento

    そして近年増えてきているのがこの「bento 弁当」です。自宅で用意したお弁当ならヘルシーで経済的と、フランス人もその魅力に気が付いたよう。

    本屋の料理コーナーにはカラフルで楽しいお弁当用のレシピ本がたくさんお目見えしています。あらステキと思って手に取ったら、日本語からの翻訳レシピ本だった、なんてこともありますよ。

    人気に伴い「boîte à bento 弁当箱」も至る所で手に入るようになりました。プラスチックやシリコン製が多いので少し味気ないのが玉に瑕?

    似非日本食レストランに要注意

    フランスの寿司と野菜が乗った白い皿

    中国?それとも日本?

    会話で登場した「お寿司と焼き鳥が同時に楽しめるレストラン」はフランスの田舎町にもあるほど。

    なぜかサラダが前菜として出てきたり、「酒」といって中国酒が食後にサービスされることが多いのも特徴です。

    値段は手軽で、たしかに日本料理をフランスに広めるきっかけにはなったのでしょう。

    間違った日本食のスタンダード

    しかし日本人的には「寿司は寿司」「焼き鳥は焼き鳥」と別のお店で食べるべきものという認識がありますよね。

    ところがフランス(特に地方)ではこれが日本料理のスタンダード。

    日本料理が好きというフランス人を食事に招待し、焼き魚や煮物などの家庭料理を出すとがっかりされてしまうなんてことも!

    日本人ならだれでも寿司を握れると勘違いしている人も多いのです。

    そして寿司好きなフランス人でも、生魚はサーモンとマグロ以外はNG、なんて人がとても多いので、万が一食事に招待する場合は事前確認をおすすめします。

    *記事の情報は2017年1月のものです。

    フランスでニュースを見ていると、時々日本語がそのまま使われていることがあります。

    なんとも悲しい単語であることもあるのですが、いったいどんな日本語なのか見てみましょう。

    ニュースで耳にする日本語

    お昼のニュースで日本語を耳にしたマリーさん、他にはどんな日本語を知っているのでしょうか?

    会話

    Marie : Tu as regardé le journal de ce midi ?

    お昼のニュース見た?

    Il y a encore un kamikaze au Moyen-Orient.

    中東でまた自爆テロがあったみたいよ。

    Hanako : Oui, j’en ai entendu parler.

    ええ、聞いたわ。

    Et aussi un risque d’un tsunami en Asie.

    アジアの国で津波の危険もあるみたいね。

    Marie : Hier, on a parlé du karoshi…

    昨日は過労死について話していたわ。

    Hanako : Ah !làlà ! Comme si tous les malheurs du monde sont  d’origines japonaises !!

    あらあら!まるで世界中の不幸が日本産みたいだわ!!

    Marie : Oh, ne t’en fait pas. Je connais autre chose.

    まあ、大丈夫よ。私、他の日本のことも知っているもの。

    Hanako : Comme quoi ?

    例えば?

    Marie : Par exemple, un judoka français a récemment gagné un titre international.

    例えば最近、フランス人の柔道家が国際的なタイトルを取ったわ。

    Hanako : En France, on dirait qu’il y a beaucoup de licenciés.

    フランスにはたくさんの柔道ライセンスをとっている人がいるみたいね。

    Marie : Le karaté et l’aïkido sont aussi pas mal pratiqués.

    空手や合気道も結構する人がいるわよ。

    On a parlé aussi le bienfait de chanter, le karaoké.

    歌を歌うことの効果も話していたわ。カラオケね。

    Tien, je sais qu’au bar du coin, on organise une soirée karaoké.

    そうだ、近所のバーでカラオケパーティーがあるのよ。

    On y va chanter ?

    歌いに行かない?

    ポイント

    le journal

    ニュース

    le journal」はそのままだと「新聞」を意味することが多いですが、後ろに「télévisé テレビの」や「de ●●heures」をつけると「ニュース番組」を意味します。

    大手のテレビ局のニュース番組は昼(12時/13時)と夜(19時/20時)に始まります。

    présentateur ニュースキャスター」は当然発音がすばらしいので、単語は難しくても意外と聞き取りやすいもの。

    フランス語の勉強には「le journal」を見るのがおすすめです。

    le Moyen-Orient

    orient」は「東洋」のことなので「moyen 真ん中」が付くと中東のことです。

    日本の地図は日本が中心に来るので、西に位置するのに「中東」とは変な呼び方だなと思ったことはありませんか?

    le Proche-Orient 近東

    le Moyen-Orient 中東

    le Extrême-Orient 極東

    フランスの地図を見るとその謎の回答は一目瞭然。ヨーロッパを西とすると、東洋は東に位置しますね。そうすると上記の呼び名もしっくりときます。

    ちなみに日本は「l’Extrême-Orient」です。

    licencié

    フランス語を勉強しているなら大学の学位の名称を知っている人も居ることでしょう。そう「licencié 学士」ですね。学士号は「licence」です。

    この単語にはもう1つ「許可・スポーツのライセンス」の意味がありますね。会話で登場しているのは後者ですので、柔道の学士ではなく「(柔道の連盟への)登録選手」です。

    ちなみに「licencié」は形容詞だと「解雇された」の意味になるのでご注意を。

    悲しい日本語

    kamikaze

    フランスでは自爆テロ(をする人)のことを神風「kamikaze」と呼ぶことがあります。

    フランス語だと「attenta-suicide」ですが、こちらは自爆テロ自体を指します。自爆テロを起こした人のことは「un homme qui a commis un attenta-suicide」と長くなってしまいますね。

    そのためか、残念ながら耳にすることが多い単語といえるでしょう。発音は「カミカーズ」、「e」にアクセントはつきません。

    tsunami

    こちらも天災が起こるとニュースで必ず耳にするといっていいでしょう。「津波」ですね。

    raz de marée」というフランス語もあるのですが「tsunami」の方が使用されているように感じるのは、日本語のため耳に入って来やすいからでしょうか?

    karoshi

    日本人は働きすぎとはよく言われますが、フランスの社会も近年の経済悪化と共に人員削除やプレッシャーなど、ストレスのたまる環境になりつつあるようです。

    そのせいか「karoshi 過労死」も、身近に起こりえるテーマとして取り上げられることがあります。

    スポーツの日本語

    柔道

    フランスでは日本の「arts martiaux 格闘技」が大人気。柔道を始め空手や合気道も道場に通う人が多くいます。

    ○○ka

    柔道などをする人を○○家と呼びますが、フランスでも同じように「○○ka」と表します。

    Ju-jitsu

    Ju-jitsu」もしくは「ju-jutsu」は「柔術」本来は柔道や合気道などを指す言葉です。

    フランスで「Ju-jitsu」というとブラジリアン柔術を指すようで「Je pratique le judo et le ju-jitsu 柔道と柔術をしています」と言われたら、同じじゃないの?と日本人なら悩んでしまいそうですね。

    Kimono

    j’ai un kimono 着物を一枚持っています」なフランス人は実はかなり多いもよう。それは柔道着のことをフランス語では「kimono」と呼ぶから。

    着物のように前で重ね合わせるスタイルを「kimono」と呼ぶこともあり「着物持ってるのよ、見て見て!」と言われて見てみると、なんだかセクシー路線だったなんてオチにも出会えますよ。

    日本にしかない特定の文化に関する言葉は、そのままフランス語でも使われる場合が多く見られます。

    日本に興味のある友人に話を振られ、こんな言葉も知ってるの!と驚くこともあるのがフランス生活なんですよ。

    文化編

    マリーさんの家に遊びに行った花子さん、玄関のお花に目が引き付けられたようです。

    会話

    Marie : Bonjour Hanako.

    こんにちは、花子。

    Hanako : Bonjour Marie. Dis donc, c’est très jolies ces fleurs.

    こんにちは、マリー。ねぇ、このお花とってもステキね。

    On dirait qu’elles sont un peu japonisantes.

    なんだか日本趣味みたい。

    Marie : Exactement. Je l’ai réalisé en classe d’ikebana.

    その通り。いけばなの教室で活けたのよ。

    Hanako : Tu as bien réussi.

    とても上手だわ。

    Je ne savais pas que tu suivais des cours d’ikebana.

    あなたがいけばなのレッスンを取っているなんて知らなかったわ。

    Marie : C’est une association qui propose différents thèmes chaque fois.

    毎回違うテーマをしてくれるアソシエーションなのよ。

    La dernière fois, j’ai goûté du matcha.

    前回は抹茶を飲んだわ。

    Hanako : Il t’a plu ?

    気に入った?

    Marie : C’est spécial… je préfère le gâteau au matcha au matcha nature. 

    微妙ね…抹茶そのままより、抹茶のお菓子のほうが好きだわ。

    ポイント

    spécial

    苦い

    spécial」は日本語でも「スペシャル」と言いますし「特別な」と良いニュアンスで使われることが多いですね。

    ところが「特殊な/変な」という意味もあり、文中の「c’est spécial」はこちらの意味で使われています。

    「風変わりな味だ(だから苦手だ)」と「ce n’est pas bon まずい」より少しオブラートに包んだニュアンスなので、苦手な食べ物を出されたときに使ってみてはいかがでしょうか。

    人を指して「Il est spécial」と言うと「変わった人」の意味になります。

    nature 

    nature」は「自然」の名詞のほかに形容詞としても使います。

    「そのままの/何も混ぜない」という意味なので「matcha nature」はお砂糖やミルクを入れないストレートの抹茶ということですね。

    飲み物の「café コーヒー」や「thé (紅)茶」などに使われるほか「omelette nature 具なしのオムレツ」などの表現も良く見かけます。

    日本の文化

    いけばな

    いけばなはフランス語で表現すると「l’art floral japonais 日本のフラワーアート」ですが「ikebana」の表現も良く見られます。

    フランス人全員が知っているという単語ではありませんが、お稽古などの場合、日本語のまま使われることが多いよう。

    植物関係では「kokedama 苔玉」も「magasin de jardinage 園芸店」などで見かけるようになってきました。

    茶道

    フランスで日本茶が手に入りにくかったのは今は昔。今では田舎でも「thé vert 緑茶」が買えるようになり、日本人にはうれしい限りです。

    緑茶は日本語のままでは通じませんが、なぜか抹茶「matcha」は日本語で通じるのが面白いところ。

    通じにくいときは「thé vert matcha」と続けて言うと分かってもらえることが多いようですよ。

    そんな抹茶を使う茶道は「la cérémonie du théjaponaise)」といいます。

    歌舞伎

    歌舞伎

    kabuki 歌舞伎」はパリのオペラ座で何度か公演が行われたことや無形文化遺産への登録もあり、日本通以外のフランス人でも知っている場合があります。

    歌舞伎よりマイナーですが「nou 能」も日本好きなら知っているかもしれませんね。

    神道

    宗教の話はタブーと言われますが、実際には話題に上がることも多いもの。そんな時、日本の宗教について聞かれる場合もありますよね。

    仏教は「bouddhisme」で、フランス人でもほとんどの人がどんなものか知っているようです。

    日本古来の宗教は神道ですが、こちらのフランス語は「sintô」もしくは「shintoïsme」。ほとんど日本語と同じですね。

    漫画

    こちらは伝統ではないですが、もうすっかり日本文化に定着。日本といえば漫画!というフランス人も少なくはないのが現状です。

    こちらも「manga」とそのまま日本語でOK。

    bonde dessinée」というフランス語もあるのですが、こちらはフランスの漫画(とはいっても形状はちがいますが)を指すのが普通です。

    そして「comics」はアメリカ産の漫画を指し、同じ漫画といえど色々な表現を使い分けるのがフランス流なんですね。

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