パリ・コンコルドの観覧車

    1. フランス旅行・観光

    冬のパリに来たことがあるなら、きっとコンコルド広場の観覧車を目にされたことでしょう。

    1993年から毎年設置されてきたこの観覧車ですが、2017~18年の冬で見納めになる可能性が高いようです。

    シャンゼリゼからコンコルド、冬のイルミネーション

    今日の花子さんとマリーさんは12月の寒空の中、シャンゼリゼに来ています。きれいなイルミネーションを見ながらお散歩中のようですよ。

    会話

    Hanako : Que c’est beau, les Champs-Elysées en hiver !

    冬のシャンゼリゼってなんてきれいなのかしら!

    Marie : C’est vrai! Même s’il fait très froid, ça vaut le coup de se promener ici.

    本当にね。とっても寒くても、ここを散歩する価値があるわよね。

    Hanako : On va marcher jusqu’à la Place de la Concorde ?

    コンコルド広場まで歩く?

    J’aime bien regarder aussi la grande roue.

    私、観覧車を見るのが好きなのよ。

    Marie : Oui, on va l’admirer.

    ええ、見に行きましょう。

    En plus, ce serait pour la dernière fois qu’elle est là-bas.

    それに、観覧車があそこにあるのも、最後かもしれないしね。

    Hanako : Comment ça, la dernière fois ?

    最後ってどういうこと?

    Marie : Tu ne savais pas ? La ville Paris a décidé de ne pas renouveler le bail.

    知らないの?パリ市は契約を更新しないことに決めたのよ。

    Hanako : Non, je ne savais pas… C’est bien dommage…

    ええ、知らなかったわ…とっても残念…

    Alors, si c’est la dernière fois, on va prendre comme souvenir ?

    じゃあ、これで最後なら、思いでに乗っていきましょう?

    エッフェル塔の前にあるフランスの観覧車。

    ポイント

    la grande roue

    grande 大きい」と「roue 車輪・車輪状の装置」を合わせて「grande roue」で「観覧車」の意味になります。

    フランスでこの「grande roue」は街中で見かけることが多く、目にするとなんだか楽しい気分を味わえるのが嬉しいですね。

    ところが日本のものより回転速度が速く、しかも壁の無いゴンドラタイプも多いので、実際に乗ってみるとなかなかにスリルを感じる乗り物となっています。

    コンコルド広場の観覧車

    観覧車の歴史

    コンコルド広場に観覧車が登場したのは1993年の事。シラク元大統領がパリ市長だった時代のことです。

    その年から毎年登場し、クリスマス前から春にかけての風物詩となっていきました。

    そして2017・18年をもって、契約を更新しないとパリ市は発表しています。

    そんなコンコルド広場の観覧車ですが、持ち主は「Marcel Campion」。

    彼は「le roi des forain 縁日興行の王」と呼ばれる人物で、チュイルリー公園の夏の移動遊園地も彼によるものです。

    契約更新がされない理由

    最初に登場した年から、かれこれ23年も同じ興行主の観覧車がパリの一等地で興行をしているわけです。

    これによってパリ市と興行主である「Marcel Campion」の間の「favoritisme えこひいき」、つまりは癒着を疑う声が上がっていました。

    お金がいっぱい入ったブリーフケースを運ぶフランスのビジネスマン。

    【パリ市のえこひいき】

    大きい「grande roue」を設置するためには、基礎となる土台もそれに見合った規模のものが必要になりますよね。

    そしてコンコルド広場にある「grande roue」のための基礎設備は「Marcel Campion」の「grande roue」にぴったりのサイズに作られています。

    コンコルド広場は公共の場であるので、公正な競争の上で向上主が選ばれるべきですよね。

    ところが、この条件下では「Marcel Campion」の「grande roue」以外は選びようが無い仕組みになっているわけです。

    ちなみにパリ市はこの「favoritisme」で取り調べを受けています。

    2018・19年の行方

    さてパリ市は契約更新をしないわけなので、普通に考えると2018年の冬には観覧車は登場しないのね、と思うことでしょう。

    ところが2017年の開会式で「Marcel Campion」はこのように声明を発表しました。

    Ce n’est pas la dernière inauguration de la grande roue

    これは観覧車の最後の開会式ではない

    彼は初期のチュイルリー公園の移動遊園地を無断占拠でスタートしていたり、何かと力技で物事を推し進める人物として知られています。

    もしかしたら大掛かりなデモで交通を麻痺させパリ市を屈服させたり、力ずくで場所を占拠して観覧車を設置する、何で事もなきにしもあらず…

    何はともあれ、2017・18年シーズンの最終日は5月23日です。パリの景色をコンコルド広場から眺めて見たい人は、それまでにチャレンジするのが良さそうです。

    *2017年12月現在の情報です。

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