château d’eau 水の城」と聞いて、いったいどんなものを想像しますか? パリのメトロの名前にもなっていますが、いったいどんなものなのでしょうか。

今回はフランス語の「château d’eau」や「château」の意味を見てみましょう。

畑の中の塔

今日の花子さんはマリーさんと車で遠出をしています。田舎道を走っていると、畑の中ににょきっと塔が立っているのがいるのが見えてきたようです。

会話

Hanako: Tu sais ce que c’est, cette tour dans le champ? 

畑の中にあるあの塔、何か知ってる?

Marie: C’est un château d’eau. Tu ne l’as jamais vue?

あれは”水の城”よ。見たことない?

Hanako: Non, jamais vu. Elle sert à quoi ? 

ええ、ないわ。何に使うの?

Marie: Elle servait pour distribuer l’eau à chaque foyers à l’époque.

昔、それぞれの家庭に水を配給するのにつかわれていたわ。

Comme l’eau est à la hauteur, ça donne de la pression.

水が高いところにあるから、圧がかかるのよ。

Hanako: Je vois. Par contre, elle n’a rien à voir avec un château…

なるほど。それにしても”城”とは全く違うわね。

Le ,mot “château”, ça me fait imaginer plutôt la grande construction comme château de Versailles.

“城”って単語は、むしろヴェルサイユ宮殿みたいな大きな建築物を想像させるわ。 

Pourquoi on ne l’appelle pas une tour d’eau?

どうして”水の塔”って呼ばないの?

Marie: ça, je n’en sais rien.

それは、私は知らないわ。

フランスの給水塔の隣の野原に立つ男性。

château d’eau 給水塔

château」は「城・宮殿」、「eau」は「水」。直訳すると「水の城」となり、いったい何のこと?となりますよね。この「château d’eau」はいわゆる城とは全く関係なく、「給水塔」のことです。

日本でもマンションなどの屋上に給水タンクが設置されていたのと同様、水を高い位置にあげることで圧をかけ、各家庭にまで給水するためのものです。

château d’eau の外見

 フランスには約16 000の「château d’eau」があり、その多くは郊外や田舎の畑に囲まれ立っています。

外見はシンプルな形にコンクリートそのままのものから、全体に絵が描かれているもの、UFOのような円盤を上部に乗せた近未来的なものまで様々です。

のどかな田舎の風景の中に、いきなりにょきっと派手な「château d’eau」が登場すると、そのコントラストに始めはびっくりしてしまうものです。

役目を終えた château d’eau

現在では他の給水システムに取って代わられ、役割を終えた「château d’eau」がほとんどです。

それでも多くの「château d’eau」は給水システムが故障したときのために、そのまま残されています。

不必要になった「château d’eau」は、取り壊しにもお金がかかるため、売りに出されることも!一般の人も購入することができ、自宅や別荘用に改装することもできるようです。

またホテルに改装されたケースもあり、「insolite (良い意味で)突飛な」と普通のホテルに飽きた層に人気があります。

フランス、ベルサイユ宮殿。

フランス語の「château」

フランス語の「château」でまず思い浮かぶイメージは「城・宮殿」でしょう。フランスなら「château de Versailles ヴェルサイユ宮殿」や「château de Chambord シャンボール城」などでしょうか。

日本語で城や宮殿は違うスタイルの建物を思い浮かべますが、フランス語では同じ単語で表します。

他にも「château fort」だと軍事的な目的の「城砦」を意味します。

宮殿と城砦では全く別物のように感じますが、そもそも「château」はその地方を守る領主などの住まいを指します。そのため建築様式は重要でなく、宮殿も城も城砦も「château」と言えるのです。

ちなみに「palais」も「宮殿」の意味ですが、こちらは権力の本拠地で軍事的な意図がない建物です。「palais du Louvre ルーブル宮殿」「palais de l’Elysée エリゼ宮」などがありますね。

ただ「château」は田舎にある「palais」を指すこともあるので、紛らわしくなっています。

ワインが好きな方なら「château」でワインの蔵元を思い浮かべるのでしょう。

château」といわれると、凄い建物を想像してしまいがちですが、ワインの蔵元の建物は美しくはあっても意外と普通です。

宮殿やお城を想像していると、イメージと違ってガッカリなんてこともあるかもしれません。

まとめ

フランス語では、お城や宮殿にワインの蔵元だけでなく、給水塔まで「château」と同じ単語を使います。

château d’eau」の意味を知らないと、どんなお城なんだろうと想像が膨らんでしまいそうですね。

お城には到底かないませんが、「château d’eau」にも豪華な建物や面白い建物があります。旅行先で「château d’eau」をチェックしてみるのも楽しいですよ。

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ソフィー(Sophie) この記事を書いた人

来日(1998年)以来23年間、日本でフランス語指導に携わるベテラン講師(京都在住)。パリでの生活経験も有します。最大の強みは、日本語でのコミュニケーションが可能な点です。
パリではECEインターナショナルスクールにてクボタ・ヨーロッパの従業員(日本人)に指導。来日後は、エスパス・フランセ語学学校、日本女子大学、桐朋学園高校、外務省、その他企業にて、初心者から上級者まで豊富な指導経験を有します特に初心者の方が躓きやすい発音について、「難しくない」と感じられるよう基礎から丁寧に指導することに注力しています。 忍耐強く、発音や文法を丁寧に繰り返し指導するのがモットー。グラフィックデザインのスキルを活かし、描画を取り入れた分かりやすい説明も得意です。ご希望に応じて英語でのフランス語レッスンや、アートレッスン(仏語/英語)も提供可能です。

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