フランス語の調理器具の名前を覚えると、おしゃれなフランス料理のレシピを見るのがさらに楽しくなるもの。調理器具の名前を一つ一つ覚えるだけでもワクワクしますよね。
今回はそんな料理に欠かせない、調理器具に関するフランス語を見てみましょう。
フランス語で学ぶ:調理器具の名前
目次
二人で料理を作ろう
まずは実際に料理している場面のフランス語会話からスタートしましょう。日本語訳と照らし合わせながら、どんな調理器具が使われているか確認してみてくださいね。
会話
今日の花子さんはマリーさんと一緒に料理を作っているようです。
Hanako : Tu peux couper ces herbes, s’il te plaît.
この香草を切ってくれる?
Marie : Est-ce que tu as des ciseaux? Je n’aime pas utiliser un couteau et une planche à découper.
ハサミはある?包丁やまな板を使うのは好きじゃないの。
Hanako : (En passant les ciseaux)Tiens.
(ハサミを渡しながら)どうぞ。
Quand tu finis, tu les mets dans cette casserole et mets le couvercle.
終わったらこの片手鍋に入れて、蓋をしてね。
Marie : Voilà, c’est fait. Ensuite?
はい、できたわ。次は?
Hanako : On va cuire la viande à la poêle. Quand elle est saisie, tu la mettras dans l’autocuiseur.
フライパンでお肉を焼きましょう。焼き色が付いたら圧力鍋に入れてね。
En attendant, tu coupes cet oignon et cette carotte avec le robot.
その間にこの玉ねぎと人参をフードプロセッサーで切ってちょうだい。
Marie : Où est l’éplucheur?
皮むき器はどこ?
Hanako : Il est dans le tiroir le plus haut. Tu peux sortir des cuillères doseuses aussi ?
一番上の引き出しの中よ。メジャースプーンも出してくれる?
Marie : OK. Dis, tu n’es pas un peu fatiguée? On cuisine depuis déjà deux heures…
OK。ねえ、ちょっと疲れてこない?もう二時間も料理してるわ…
Hanako : On va faire une petite pause. Passe-moi la bouilloire et la passoire qui sont là. Je vais faire du thé.
ちょっと休憩しましょうか。そこにある湯沸し器と茶こしを渡してくれる?お茶を入れるわ。
調理器具のフランス語
調理器具はフランス語で「ustensile de cuisine」といいます。「ustensile」は「家庭用品、道具」、「cuisine」は「台所、料理」という意味です。
鍋類
フランス語には「鍋」全体を表す単語が無く、片手鍋・両手鍋などそれぞれの形に合った名称を覚える必要があります。
- casserole 柄つきの鍋(底が平らな片手鍋)
- cocotte 両手付きのシチュー鍋
- marmite / fait-tout 両手つきの深鍋
- autocuiseur 圧力鍋
- tajine / tagine タジン鍋
- sauteuse ソテー用フライパン
- poêle フライパン
- friteuse 揚げ鍋
- couvercle 蓋
- bouilloire 湯沸し器
【片手鍋と両手鍋】
日常生活でよく使う「鍋」は「casserole」と「cocotte」ではないでしょうか。日本だとどちらも「鍋」と呼んで問題ありませんが、フランスでは明確に区別されて呼ばれています。
「cocotte」と言うべきところを間違って「casserole」と言ってしまうと、フランス人には「違うよ、cocotte だよ」と言われてしまうでしょう。
【フランスの cocotte】
「cocotte」というと、「Le Creuset」に代表される鋳物のホーロー鍋を思い浮かべる方も多いのでは?しかしフランス語ではアルミやステンレス製の鍋でも、両手鍋なら「cocotte」。鍋の素材は呼び名に関係ありません。
鋳物のホーロー鍋だと明確にしたい場合は、「fonte 鋳物」を使い「cocotte en fonte」と言いましょう。
「en ~」で「~でできた」という意味になるので、「en inox ステンレス製の」「en aluminium アルミ製の」と言うこともできます。
ちなみに日本では小さな耐熱容器もココットと呼びますが、このような容器はフランス語では「ramequin」と呼ぶので注意しましょう。
【フランスの圧力鍋の名前】
フランス語で圧力鍋は「autocuiseur」。「auto 自動的な」と頭につくので、炊飯器のようにスイッチ一つで調理してくれる器具を想像してしまいますが、自動ではなく普通の圧力鍋のことです。
圧力鍋の正式名は「autocuiseur」ですが、「cocotte minute」と呼ばれることもあり、これはフランスの調理器具メーカー「SEB」の商品名です。
ちなみに炊飯器は「cuiseur à riz」と呼び、スイッチ一つで自動で炊き上げてくれますが「autocuiseur」とは呼びません。
【sauteuseとpoêleの違い】
「sauteuse」も「poêle」も良く似た形で用途も似ています。
「sauteuse」はその名の示す通り「sauter ソテーする(揺り動かしながら炒める)」ために使用します。動かすときに食材が落ちにくいよう、ふちが高めで少し丸みがついているのが特徴です。
「poêle」はいわゆるフライパンで、ふちは真っ直ぐ。「sauteuse」と比べると低めのものが多いようです。炒めるよりも肉などを焼くときに使用します。
調理家電
- robot de cuisine フードプロセッサー
- blender / mixer ミキサー
- mixeur plongeant ハンドブレンダー
- robot pâtissier スタンドミキサー
- grille-pain トースター
【グリルパンはパン焼き機】
「grille-pain」の響きだけ聞くと「グリルパン」、ステーキなどを焼く鍋底が波型になったフライパンを想像してしまいませんか?
ところがフランスの「grille-pain」はその名の通り「pain パン」を「griller グリルで焼く」家電のこと。日本でいう「グリルパン」は「poêle grill」と呼びます。
キッチンの大型家電について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
包丁類
- couteau 包丁
- ciseaux ハサミ
- éplucheur 皮むき器
- planche à découper まな板
- coupe légumes 野菜カッター
- mandoline スライサー
【フランス家庭には包丁いらず?】
フランス人は特に料理が好きという人以外は、きちんとした「couteau」を持っていない人も少なくありません。では何で食材を切るかというと「ciseaux」や、食卓用のナイフで代用してしまうのです。
「couteau」を使う場合でも「planche à découper」を使わずに野菜や果物を切ることも多く、見るたびに器用だなと思ってしまうものです(逆にまな板を使って野菜を切るのは苦手なようですが)。
【フランスのまな板】
「planche à découper」の素材は、プラスチックか木が多いですよね。フランスでも同様なのですが、日本ではあまり見かけないガラス製の「planche à découper」をよく見かけるのが特徴的です。
これはフランス人が日本のような「couteau」を使わないから。日本の「couteau」をガラス製「planche à découper」の上で使うと、すぐに歯がダメになって切れなくなってしまいますよね。しかしそもそも食材を細かく切ることが少ないフランス人の場合は、ガラス製でも問題がないのでしょう。
確かに衛生面では優れているので、肉などをざっくりと切るだけなら便利なのですけどね…。
その他の調理器具
- balance はかり
- bol ボウル
- chinois 円錐形のこし器
- cuillère doseuse 計量スプーン
- écumoir 穴あきお玉
- égouttoir 水切り器
- décapsuleur (王冠の)栓抜き
- fouet 泡立て器
- louche お玉
- mesureur 計量カップ
- ouvre-boîte 缶切り
- passoire こし器
- plaque à débarrasser バット
- presse-purée マッシャー
- rouleau à pâtisserie 麺棒
- spatule へら
- tire-bouchon (コルクの)栓抜き
【へらの種類】
「へら」の総称は「spatule」。素材の違いは「cocotte」で紹介したのと同様に「en ~」を使って表します。
- spatule en bois 木べら
- spatule en silicone シリコン製のへら
- spatule en nylon ナイロン製のへら
- spatule en inox ステンレス製のへら
日本で「ゴムベラ」と呼ばれるのは「spatule en silicone」や「spatule en nylon」など。素材によって耐熱温度に差があるので、加熱調理に使う予定であれば表記を確認してくださいね。
Résiste aux températures jusqu’à ○○°C
耐熱温度 ○○°C
「ゴムベラ」は「Maryse」と呼ばれることもありますが、料理好きで調理器具の名前に詳しい人でないと知らないかもしれません…。
そして製菓で使われることが多いパレットナイフも、フランス語では「spatule」と呼びます。
- spatule droite パレットナイフ
- spatule coudée L字型パレット
「droit」は「真っ直ぐな」、「coudé」は「肘型に曲がった」という意味です。「spatule」は女性名詞なので、それぞれの形容詞の後に「e」が付いています。
【ボウルの別称】
ボウルはフランス語で「bol」ですが、一般的なフランス人は「bol」と言うと、カフェオレボウルのような飲食用のボウルを思い浮かべる人が多いようです。
卵を泡立てようと「bol を取って」とお願いしたら、小さいボウルを手渡されてしまうかもしれません。
そんなフランス人には「saladier」と伝えるのがおすすめ。その名の通りサラダ用の大き目なボウルのことです。
また「cul-de-poule」という呼び方もあり、直訳だと「鶏のおしり」という意味。調理器具としては調理に使う大きめのボウルを指します。
【フランスのバット】
食材の下準備に便利なバット、フランス語では「plaque à débarrasser」。「plaque」は「板」、「débarrasser」は「片づける、邪魔なものを取り除く」という意味です。
ただこの呼び名も、一般的なフランス人は知っている人が少ないようで…。何のこと?という反応をされててしまう可能性があります(もちろん調理器具のお店などでは通じるのでしょうが)。
そもそもフランスの一般家庭にはバットはなく、あるとしたら「plat à four en inox」。「plat 大皿」「four オーブン」の名の通り、オーブン料理用のステンレス製の大皿です。
皿といっても平べったいのではなく、バットと同じように長方形で高さのある形をしているものが主流。オーブンから出し入れしやすいように、取っ手が付いているものもあります。
「plaque」という単語を使うと、どうしても薄っぺらいものを思い浮かべてしまうので、フランス人には「plat」を使った表現の方が、バットの形状を想像してもらいやすいかもしれません。
食器類に関するフランス語
調理器具のフランス語名を覚えたら、食器の名前も憶えておきたいところ。日常生活での使用頻度もさらに高いので、フランス旅行中にも役立つことがあるかもしれませんね。
【カトラリー類】
- couvert カトラリー
- cuillère スプーン
- cuillère à soupe スープスプーン
- cuillère à dessert デザートスプーン
- cuillère à café コーヒースプーン
- fourchette フォーク
- couteau ナイフ
- baguettes お箸
「couvert」は食卓で使う「cuillère」や「fourchette」「couteau」などの総称、いわゆる「カトラリー」です。もちろん「baguettes」も「couvert」に含まれます。
日本では「お箸を並べてね」とお願いしたりしますが、フランス語の場合は「couvert」を使うと良いですね。
Tu peux mettre les couverts s’il te plaît.
カトラリー並べてね。
ちなみに「お箸」は「baguettes」。「baguette」は「フランスパン」のことも指しますが、そもそも「細い棒」を指す単語です。お箸も細い棒なので「baguette」の一種ですが、二つセットで使う物なので「baguettes」のように必ず複数形で使ってください。
「お箸を○膳」は、メガネや靴などと同じように「paire 対、組」を使って、「une paire / deux paires de baguettes 一膳の / 二膳のお箸」ということができます。
【お皿類】
- assiette お皿
- assiette plat 平皿
- assiette creuse 深皿
- assiette à soupe スープ皿
- assiette à dessert デザート皿
- plat 盛り皿
食事で各自が使うようなお皿は「assiette」。取り分けるような料理を乗せるお皿、つまり「盛り皿」は「バット」の項目でも登場した「plat」という単語を使います。
【コップ類】
- verre グラス
- verre à eau 水グラス
- verre à vin ワイングラス
- verre à pied 脚付きグラス
- tasse コップ
- tasse à café コーヒーカップ
- tasse à thé ティーカップ
- bol ボウル
「verre」は「ガラス」という意味で、食器類では「ガラス製のグラス」を指します。陶器製などで取っ手の付いたコップ・カップは「tasse」、カフェオレボウルのような取っ手のないものは「bol」と呼びます。
調理用語のフランス語
調理器具や食器類のフランス語名が分かったら、今度は実際にフランス語のレシピを見て料理をしたくなりませんか?
調理用語は専門的な物を含めるとたくさんありますが、ここでは家庭でも頻繁に使用されるフランス語を紹介します。
- assaisonner 味付けをする
- saler 塩味をつける
- poivrer 故障で味付けする
- couper 切る
- conserver 保存する
- laver 洗う
- fondre 溶かす
- mélanger 混ぜる
- mariner マリネする
- cuire 加熱する(焼く、煮る、炒めるなど)
- poêler (フライパンで)焼く
- mijoter (とろ火で)煮る
- frire 揚げる
こちらの記事ではフランス料理の簡単レシピと共に、フランス語の調理用語も紹介しています。
調理器具の専門店
せっかくフランス旅行をするなら、調理器具の専門店を覗いてみるのもおすすめです。パリの地下鉄駅「Les Halles」周辺には一般人でも購入できる専門店がいくつかあるので、興味がある方はぜひ足を運んでくださいね。
MORA
「Les Halles」にある大きなショッピングセンターを少し北に上ったところにあるのが「MORA」、主に製菓用品を扱っています。グレーに赤のファサードがおしゃれで、入口が大きく入りやすい雰囲気のお店です。
- 13 rue Montmartre 75001 Paris
- 公式サイト
TOC Paris Les Halles
「TOC Paris Les Halles」は「MORA」の目と鼻の先にあるお店で、調理器具が充実したお店です。以前は「LA BOVIDA」という店名だったので、こちらの名前をご存知の方の方が多いかもしれませんね。
- 36 rue Montmartre 75001 Paris
- 公式サイト
E. DEHILLERIN
いかにもプロ御用達の専門店!という雰囲気なのが「E. DEHILLERIN」。所狭しと商品が陳列されています。サンプルしか並んでいない商品もあるので、店員さんにお願いして商品を出してもらう必要があることも。こちらは「Les Halle」の西側、有名なブラッスリー「Au Pied de Cochon」のすぐご近所です。
- 18 et 20 rue Coquillière 75001 Paris
- 公式サイト
【専門店で買い物するときの注意点】
フランスでは基本的に内税で、表示価格は「TTC (Toutes Taxes Comprises) 税込み」ですが、専門店では「HT (Hors Taxes) 税抜き」の価格が表示されていることがあります。一般客が支払うのは「TTC」なので、値札をしっかり確認して購入してくださいね。
フランスの消費税についてはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
フランス語の調理器具についてご紹介しました。日常生活で欠かせない単語でもあるので、しっかり覚えてくださいね。単語が分かるようになれば、フランス語のレシピを見る楽しみが広がります!