フランスのサンドイッチ:シンプルな美味しさの探求

    フランスのパンといえばバゲット。もちろんサンドイッチもバゲットを使ったものが主流で、食べ歩きしている人もよく見かけます。

    今回はそんなフランスのサンドイッチの種類について覗いてみましょう。

    フランスでサンドイッチとは?

    フランスでもサンドイッチはサンドイッチ?まずはフランスでの名称についてご紹介します。

    サンドイッチはフランス語でもサンドイッチ

    サンドイッチはフランス語でも英語や日本語と同じサンドイッチ「sandwich」と呼びます。

    フランスのパンといえば「baguette バゲット、フランスパン」ですね。当然「sandwich 」も「baguette」が主流です。

    その中身は様々ですが、日本の「sandwich」のように具だくさんではなく、シンプルなものが人気で、野菜が全く入っていないものも珍しくありません。

    フランスのサンドイッチ・カスクルートとは

    日本の「boulangerie パン屋」で、「カスクルート」と名づけられた「baguette」の「sandwich」を見かけることがあります。

    そのため「baguette」の「sandwich」=「カスクルート」という名前と思っている方もいるのでは?ところが、これは半分正解で半分不正解。

    「カスクルート」はフランス語では「casse-croûte」と書き、そもそもは「簡単な食事」という意味です(「casse」は「壊す」、「croûte」は「(パンなどの)堅い皮」の意)。

    フランスの簡単な食事=「baguette」に何かを挟むことが多いので、「baguette」の「sandwich」も「casse-croûte」の一種ですが…

    必ずしも「casse-croûte」=「baguette」の「sandwich」とは限らないことも覚えておいてくださいね。

    知らないと困るフランス語de勉強

    フランスのサンドイッチの種類

    フランスの「sandwich」の具材には、どんなものがあるのでしょうか?

    フランスらしいシンプル具材

    baguette」を使った「sandwich」の中でも、いかにもフランス!と感じる定番こちら。

    sandwich au fromage

    チーズ入りサンドイッチ

    sandwich au jambon

    ハム入りサンドイッチ

    sandwich au jambon fromage 

    ハムとチーズのサンドイッチ

    fromage チーズ」か「jambon ハム」、もしくは両方を入れたシンプルな「sandwich」ですが、これがビックリするほど美味しい!

    美味しさの理由は、そもそもの「baguette」や具材が美味しいこと。そして、これでもか!と「beurre バター」が使われている事の2つです。

    日本では「beurre」はパンに水分が染み込まないようにと薄く塗りますが、フランスでは「beurre」も具材といわんばかりにたっぷり塗り付けられています。”塗る”のではなく”挟む”といった方が近いかもしれません。

    美味しい「baguette」に「beurre」を付けて食べるのは当然美味しい。そこに美味しい「fromage」や「jambon」を挟んだ「sandwich」が美味しくないわけがありませんよね。

    フランスの「boulangerie」でどれにしようか悩んだら、シンプルで寂しいな、野菜が入ってないから美味しくなさそう、など思わず是非食べてみてくださいね。

    【美味しいシンプルサンドイッチの見分け方】

    とはいえ、これらのシンプルな「sandwich」が美味しくないこともあります。

    スーパーで売られているものは、そもそもの「baguette」自体が美味しくない可能性が高く、「boulangerie」の「sandwich」でも、ラップでつつまれたものは「baguette」のせっかくの食感が台無しになっている危険性大!

    boulangerie」で裸のまま、もしくは半分程度紙袋に入った状態でショーケースに入っているを選びましょう。皮がぱりぱり、中はしっとりもちっと美味しい「baguette」に当たる可能性が高くなります。

    また売れないお店の「sandwich」は、食材が乾燥して変色していることもあります。具材の状態もチェックしてから購入するようにしてくださいね。

    その他の定番具材

    boulangerie」には上記のいかにもフランス!な「sandwich」の他にも色々な種類が並んでいます。代表的なものはこちら。

    sandwich norvégien 

    ノルウェー風サンドイッチ

    norvégie」は「ノルウェーの」という意味。「sandwich norvégien」は「ノルウェー風サンドイッチ」のことですが、一般的には「saumon fumé スモークサーモン」入りの物を指します。

    「○○入りのサンドイッチ」は「sandwich au ○○」。ノルウェー風ではなくスモークサーモン入りというときは「sandwich au saumon fumé」といいましょう。

    sandwich au surimi 

    すり身入りサンドイッチ

    surimi」とは日本語の「(魚などの)すり身」のことですが、フランスの「surimi」は「カニカマ」のことを指します。

    この「surimi」は意外なことに、フランス人に人気の食材。ほぐしてマヨネーズなどで和えたものが「sandwich」の具としても人気です。

    sandwich au thon 

    ツナ入りサンドイッチ

    thon」は「マグロ」のことですが、ここでは「ツナ缶」のこと。日本と同じように、ツナ缶をマヨネーズで和えたものが挟まれています。

    sandwich à la rosette 

    サラミ入りサンドイッチ

    rosette」は「salami サラミソーセージ」の一種で、リヨンの名産品です。「rosette」のように有名な「salami」の場合はその名称が使われますが、それ以外は「sandwich au salami」と呼ばれます。  

    sandwich au jambon cru 

    生ハム入りサンドイッチ

    jambon cru 生ハム」入りの「sandwich」もフランス人に人気です。日本で生ハムというと加熱していないハム全般を指すこともありますが、「jambon cru」は「jambon 豚のもも肉」の名の通り、豚のもも肉の生ハムのことだけを指します。

    sandwich au poulet 

    鶏肉入りサンドイッチ

    フランスには珍しい調理の手間がかかっているのがこの「sandwich au poulet 鶏肉入りサンドイッチ」。茹でてほぐしてあったり、薄切りになっていたり、はたまた焼いたものがど~んと入っていたりと色々なタイプがあります。

    知らないと困るフランス語de勉強

    フランスのサンドイッチの名脇役

    美味しい「baguette」と「beurre」、美味しい具材の他に、フランスの「sandwich」を美味しくする名脇役がいくつかあります。

    まず一つ目は「moutard マスタード」。フランスには粒あり・なしだけでなく、フレーバーがついていたりと、沢山の種類があるので好みの味を探してみるのもおすすめです。

    2つ目は「cornichon 小さなきゅうりのピクルス」。

    きゅうりのピクルスというと、ハンバーガーに挟まっている大きく甘い輪切りの物を思い浮かべるかもしれませんが、フランスの「cornichon」はそれとはまったくの別物。

    甘さはなく、きゅっと全体が引き締まる酸味があり、カリコリとした歯ごたえも楽しめます。特に「charcuterie ハムなどの豚肉製品」 の「sandwich」には欠かせない名脇役です。

    その他バゲットに挟むもの

    お店で売られている「sandwich」ではありませんが、フランス人が「baguette」に挟む代表的な食べ物がもう一つあります。

    それはなんと「tablette de chocolat 板チョコレート」。あえてフランス語で表現するならば「pain avec des carrés de chocolat チョコレート片入りパン」となり、「*pain au chocolat パン・オ・ショコラ」とは似て異なる食べ物です。

    carrés de chocolat」の「carré」は「正方形の、四角い」という意味で、「carré de chocolat」は「tablette de chocolat」の欠片のこと(ちなみにフランスの「tablette de chocolat」は正方形に溝が付けられていることが多い)。

    この板チョコ入りバゲットは学校帰りの子供の定番おやつなので、食べながら帰宅する子供を見かけることも少なくありません。

    子供を迎えに行ったその場で、手で「baguette」をざっくりと割り「carrés de chocolat」を挟んで与える親の姿に、カルチャーショックを受けるかもしれませんね。

    しかしバターたっぷりの「pain au chocolat」は「boulanger」で買うと一つ1.5ユーロ前後するので、子どもの毎日のおやつにするには高級品といえます。

    そのため朝の残りの「baguette」に「carrés de chocolat」を挟んで節約したくなる親の気持ちもわかりますよね。

    *デニッシュ生地にチョコレートを挟んで焼いたパン

    フランスでは見かけないサンドイッチの具材

    フランスには卵サンドもコロッケサンドもない!

    フランスの「sandwich」はとにかく簡単に作れるものが主流です。切って挟むだけでOKなシンプルな具材が人気のため、日本のように手間がかかる具材は使わないのです。 

    例えば日本の代表的な具材ともいえる「œuf 卵」はめったにお目にかかりません。

    コロッケなどの「friture 揚げ物」も当然ありませんし、「fruit 果物」や「créme chantilly ホイップクリーム」を挟むといったバリエーションもありません。

    boulanger」など市販の「sandwich」には野菜が入っているものも多いですが、家庭で作る場合は、入っていても申し訳程度だったり、野菜ゼロということも。

    栄養面では偏りますが、共働きで忙しい中、いかに簡単に短時間で作れるかという点が重要視されているのでしょう。

    フランスにない卵サンドの説明方法

    フランス人に日本の卵を使った「sandwich」を作ってあげたり、説明することもあるかもしれません。

    潰したゆで卵をマヨネーズで和えたものなら…

    sandwich à l’écrasé de l’œuf dûr et à la sauce mayonnaise

    ecrasé」は「押しつぶされた」、「œuf dûr」は「ゆで卵」という意味。これだけではイメージが難しそうなら「comme la sauce tartare タルタルソースのような」と付け足してもいいですね。

    ゆで卵を輪切りにしたものなら…

    sandwich à l’œuf dûr en rondelle / à la rondelle d’œuf dûr

    rondelle」は「輪切り」という意味。

    オムレツ入りなら…

    sandwich à l’omelette

    知らないと困るフランス語de勉強

    フランスのバゲット以外のサンドイッチ

    フランスでは「baguette」以外にも、他のパンを使った「sandwich」も売られています。

    食パンのサンドイッチ

    日本で主流の「pain de mie 食パン」を使ったイギリス風の「sandwich」は「boulongerie」では見かけませんが、スーパーで売られています。

    とはいえ、フランスの「pain de mie」はパサパサで変な甘みがあり、日本の美味しい「pain de mie」に慣れている私たち日本人には、決して美味しいと思えるものではありません。

    具材もシンプルといえば聞こえはいいですが、ハムなどがぺろっと入っただけというものが主流です。

    美食の国なら「pain de mie」の「sandwich」もさぞかし美味しいだろうと期待していると、大いにがっかりしてしまうことでしょう。

    フランスの「pain de mie」についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。

    カフェの定番クロック・ムッシュー

    pain de mie」と「fromage・jambon」を使ったホットサンド「croque-monsieur クロック・ムッシュー」はフランスの定番料理の一つ。

    boulongerie」でも売っていますが、カフェなどで食べることもできますし、ほとんどの家庭に「croque-monsieur」の機械が常備されているといっても過言ではありません。

    boulongerie」やカフェの「croque-monsieur」は、上に「sauce bechamel ホワイトソース」をかけて焼かれていますが、家庭ではシンプルにソースなしの物が主流です。

    またバリエーションに、目玉焼きが乗った「croque-madame クロック・マダム」もあります。

    フランスのオープンサンド・タルティーヌ

    具を挟んでいないので厳密には「sandwich」ではありませんが…オープンサンドはフランス語では「tartine」といいます。

    tartine」は薄切りパンにバターやジャムなどを塗ったもので、フランスの朝食の定番メニューですが、おしゃれなカフェで見かけるような塩味のオープンサンドも「tartine」と呼びます。

    朝食の「tartine」には縦に切った「baguette」がよく使われますが、オープンサンドの「tartine」は薄切りの「pain de campagne 田舎パン」や「pain de seigle ライ麦パン」など、噛み応えのあるパンが好んで使われます。

    ちなみにアペリティフに登場する、パンの上に塩味の具材を載せたものは「tartine」でなく「canapé」と呼び名が違うので注意しましょう。

    フランスのパンの種類についてはこちらをご覧ください。

    イタリアのホットサンド・パニーニ

    お隣の国・イタリアのホットサンド「panini パニーニ」も、フランスで食べることができます。特に学生が集まるような街角の小さなお店や、専門店で売られていますが、パン屋で売っていることもあります。

    そして「panini」が売っている横では「hot dog」もよく売られています。どちらも手軽な「sandwich」の一種ですが、安価で温かいものが食べられるので、フランスでも学生に人気があるようです。

    ボリュームたっぷり!どこにでもあるケバブ

    フランスで人気の「sandwich」で忘れてはいけないのが「kebab ケバブ」。トルコ料理の一種で、白い楕円形のパンにたっぷりのお肉が詰まったお手軽フードです。

    単品でもボリューミーですが、「frites フライドポテト」がついても7~8ユーロ程度とお財布にも優しい!

    どんな田舎町にもあるといっても過言ではないほど、フランスに浸透しているファストフードです。

    フランスのファストフードご興味のある方はこちらもご覧ください。

    知らないと困るフランス語de勉強

    会話で復習!フランスのサンドイッチの種類

    花子さんとマリーさんは、パン屋でランチのサンドイッチを買おうとしているようです。

    どのサンドイッチにする?

    Hanako: Tu prends quel sandwich?

    どのサンドイッチにする?

    Marie: J’hésite entre un jambon fromage ou un fromage. Et toi?

    ハムとチーズ入りか、チーズ入りかで悩んでるの。あなたは?

    Hanako: Moi, je n’ai pas envie de fromage. Donc un norvégien ou un surimi.    

    私はチーズの気分じゃないから、ノルヴェジアンかスリミ入りにするわ。

    Marie: Ils sont bons aussi. 

    それも美味しいわよね。

    Mais attends, ça sent bon le pain grillé. Ah, il y a aussi des croque-monsieur. 

    でも待って、パンが焦げた良い匂いがするわ。ああ、クロックムッシュもあるのね。

    Hanako: C’est vrai que ça donne faim. Je pourrai en prendre un…mais le fromage…

    確かに食べたくなるわね。それにしようかしら…でもチーズがなぁ…

    Marie: Si tu ne veux pas du fromage, tu pourras prendre un panini. Je crois qu’il y en a des végétariens.    

    チーズを食べたくないならパニーニにしたら?ヴェジタリアンがあったと思うわよ。

    会話のポイント

    ça donne faim「それを食べたくなる」

    ça donne faim」は直訳すると「それが(私に)空腹を与える」、つまり「それを食べたくなる」という意味。実際に空腹かは関係なく、空腹を感じるほど美味しそうで食べたい、というニュアンスです。

    実際に空腹な時にも使いますが、食後のデザートなどお腹いっぱいだけど美味しそうだから食べたくなる、という時にも使えます。

    まとめ

    日本は具材が豪華な「sandwich」が好まれますが、フランスの食材で勝負!というシンプルな「sandwich」にもその良さがあります。

    フランスに来たら、ぜひ「baguette」に「beurre」たっぷりのシンプルな「sandwich」を食べてみてくださいね。

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