フランス語で感謝の手紙を書く:親しい友人への表現ガイド

  1. フランス語講座

フランス滞在中にできた友人には、日本帰国後はなかなか会えないのが淋しいですが、手紙やメールで連絡を取り合うことはできますよね。心のこもった手書きの手紙は、きっと相手の心に温かく響くはずです。

今回は、親しい友達に送るフランス語の感謝の手紙の書き方を、例文を交えながら詳しく紹介します。基本的な構成から、使えるフレーズ、マナーまで、これさえ読めば自信を持ってフランス語の手紙が書けるようになりますよ。

フランス語で感謝の手紙を書く:親しい友人への表現ガイド


フランス語で書こう!友人への感謝の手紙の例文

まずは、フランス語の手紙の書き方の例として、現地でお世話になった友人(ソフィーさん)に、帰国後に感謝を伝える手紙を送る、というシチュエーションの例文を見てみましょう。

À Tokyo, le 15 juillet 2023

(2023年7月15日 東京にて)

Chère Sophie,

(親愛なるソフィー)

Tout va bien chez toi?

(そちらはうまく行っていますか?)

Moi, je suis revenue au Japon saine et sauve. Je suis un peu fatiguée, mais je vais bien.

(私の方は無事に日本に戻りました。少し疲れていますが元気です。)

Merci beaucoup pour ta gentillesse pendant mon séjour en France.

(フランス滞在中は親切にしていただき、ありがとうございました。)

Grâce à toi, j’ai passé des jours inoubliables.

(あなたのおかげで、忘れられない日々を過ごすことが出来ました。)

Je te remercie surtout, de m’avoir accepté si aimablement chez toi.

(特に、お家で歓待していただいたこと、とても感謝しています。)

Comme c’était la première fois que je visitais un appartement en France, tout était très impressionnant.

(フランスでアパルトマンにお邪魔したのは初めてだったので、すべてがとても印象的でした。)

Pour te remercier, je t’envoie un petit cadeau et des photos. J’espère qu’ils pourront te plaire.

(お礼に心ばかりのプレゼントと写真を送ります。気に入ってくれると良いのですが。)

Et j’espère du fond du cœur, que nous aurons l’occasion de nous revoir!

(再会できる機会が訪れますよう、心から祈っています。)

Amicalement,

(かしこ)

Sayaka

(さやか)

お礼の手紙に登場したフランス語の単語や表現を確認しましょう。(“<”記号以下は、もとの形(辞書に載っている形)を表しています。また、名詞の後の(m)、(f)は、それぞれ男性名詞・女性名詞を示しています)

  • chèrecher 親愛なる
  • sain(e) 健やかな、健全な
  • sauve(f)<sauf(m) 無事な、助かった
  • gentillesse (f) 優しさ、親切
  • pendant ~の間
  • séjour (m) 滞在
  • grâce à ~のおかげで
  • inoubliable 忘れられない、いつまでも心に残る
  • remercier 感謝する
  • accepter 受け入れる
  • aimablement 愛想よく、親切に
  • visiter 訪問する
  • impressionnant(e) 印象的な、感動的な
  • envoyer 送る
  • cadeau (m) プレゼント
  • espérer 期待する、希望する
  • plaire (à qn) (~の)気に入る
  • fond (m) 底、奥
  • cœur (m) 心
  • occasion (f) 機会
  • se revoir 再会する
  • amicalement 友情を込めて
万年筆で手紙を書いている様子

(心を込めて、フランス語で手紙を書いてみましょう)


フランス語の感謝の手紙の基本的な書き方

ここからはフランス語で感謝の手紙を書く時の、具体的なポイントや注意点を、例文に沿って順に解説していきます。

① フランス語の日付と場所の書き方

À Tokyo, le 15 juillet 2023

フランス語の手紙では、本文の右上発信地日付を書くのが一般的です。

  • 場所は「À + 都市名」の形で書きます。(例: À Paris, À Lyon)
  • 日付は「le + 日 + 月 + 年」の順で書きます。(例: le 1er janvier 2024)
  • 月名は基本的に小文字で始めます。(例: janvier, février, mars…)
  • 日付の「1日」は「1er (premier)」と書きます。(例: le 1er mai)

日本語の手紙とは日付の位置が異なるので注意しましょう。

② フランス語の挨拶・呼びかけの書き方

Chère Sophie,

手紙の冒頭、本文の左上に書く呼びかけの言葉です。親しい友人(女性)には「Chère + 名前」、男性には「Cher + 名前」を使います。「Cher/Chère」は「親愛なる」という意味です。名前の後にはコンマ「,」を忘れずに。

さらに親しみを込める場合は、「Ma chère Sophie」「Mon cher Paul」のように「Ma/Mon (私の)」を付けます。よりカジュアルな間柄なら、「Salut Sophie (やあ、ソフィー)」や「Bonjour Paul (こんにちは、ポール)」でもOKです。

目上の方で親しい間柄なら「Cher Monsieur Dubois」「Chère Madame Dupont」のように「姓 (nom de famille)」を使います。それほど親しくない、またはフォーマルな場合は「Cher/Chère」を付けずに「Monsieur Dubois,」「Madame Dupont,」とします。

Tout va bien chez toi?

呼びかけの後は、相手の安否を気遣う一文を入れるのが一般的です。「Comment vas-tu ? (コマン ヴァ テュ / 元気?)」や「J’espère que tu vas bien. (ジェスペール ク テュ ヴァ ビアン / 元気だといいのですが)」などがよく使われます。「chez toi/vous」は「あなたのところでは」という意味合いです。

Moi, je suis revenue au Japon saine et sauve. Je suis un peu fatiguée, mais je vais bien.

続けて自分の近況も簡潔に伝えます。「sain(e) et sauf/sauve (サン(ヌ) エ ソーフ/ソーヴ)」は「無事に」という意味の定型句です。帰国直後なら「Je suis bien rentré(e). (ジュ スイ ビアン ラントレ / 無事に戻りました)」も使えます。

もし帰国から時間が経っているなら、「Moi, je vais (très) bien. (モワ、ジュ ヴェ (トレ) ビアン / 私は(とても)元気です)」だけでも良いでしょう。フランスが恋しい気持ちを伝えたいなら、「La France me manque déjà. (ラ フランス ム マンク デジャ / フランスが既に恋しいです)」と付け加えるのも素敵です。

アンティークな机の上にあるフランス語の手紙とインクペン

(日付と場所、呼びかけから手紙を始めましょう)

③ 感謝の言葉とお礼の書き方

挨拶の後は、いよいよ本題の感謝の気持ちを伝えます。様々な表現を使い分けましょう。

【Merci pour / de ~】(~をありがとう)

Merci beaucoup pour ta gentillesse pendant mon séjour en France.
(フランス滞在中は親切にしていただき、ありがとうございました。)

感謝を伝える基本表現。「Merci pour + 名詞」または「Merci de + 動詞の原形(または過去分詞)」の形で使います。

Merci pour + 名詞:

  • ton invitation (招待)
  • ton accueil (おもてなし)
  • ton aide (助け)
  • ton cadeau (プレゼント)
  • tout (全て)

Merci de + 動詞:

  • m’avoir invité(e) (私を招待してくれて)
  • m’avoir aidé(e) (私を助けてくれて)
  • m’avoir accompagné(e) (私に同行してくれて)
  • ton soutien (あなたのサポート)
  • votre compréhension (ご理解)

※(e)は女性の場合に付けます。

【Grâce à ~】(~のおかげで)

Grâce à toi, j’ai passé des jours inoubliables.
(あなたのおかげで、忘れられない日々を過ごすことが出来ました。)

「~のおかげで」と、ポジティブな理由を述べるときに使います。「Grâce à + 人/物/事柄」の形で使います。(例: Grâce à tes conseils あなたのアドバイスのおかげで)。

※ネガティブな理由「~のせいで」の場合は「à cause de ~」を使うので混同しないように注意。

【Je te remercie de ~】(~に感謝します)

Je te remercie surtout, de m’avoir accepté si aimablement chez toi.
(特に、お家で歓待していただいたこと、とても感謝しています。)

動詞「remercier」を使った、Merciよりも少し丁寧な感謝の表現。「Je te/vous remercie de + 名詞/動詞の原形」の形で使います。「Merci」ばかり繰り返すのを避けるためにも覚えておくと便利です。

例: Je te remercie de ton aide précieuse. (あなたの貴重な助けに感謝します。)

感謝の言葉と合わせて、何が特に印象に残っているか、楽しかったかなどを具体的に書くと、より心のこもった手紙になります。

Comme c’était la première fois que je visitais un appartement en France, tout était très impressionnant.
(フランスでアパルトマンにお邪魔したのは初めてだったので、すべてがとても印象的でした。)

J’ai particulièrement aimé la soirée passée ensemble.
(特に一緒に過ごした夜は楽しかったです。)

④ 再会への希望の書き方

感謝の気持ちを伝えたら、今後の繋がりや再会を願う言葉で締めくくりに向かいます。

Et j’espère du fond du cœur, que nous aurons l’occasion de nous revoir!
(再会できる機会が訪れますよう、心から祈っています。)

espérer (希望する)」や「souhaiter (願う)」を使って、再会(se revoir)への希望を伝えましょう。「du fond du cœur (心の底から)」や「sincèrement (誠実に)」といった副詞を加えると、より気持ちが伝わります。

日本への訪問を促す一文を入れるのも良いでしょう。

Si tu viens un jour au Japon, n’oublie pas de me contacter!
(いつか日本に来ることがあったら、私に連絡するのを忘れないでください!)

J’espère te revoir bientôt à Tokyo.
(近いうちに東京であなたに再会できることを願っています。)

返事を促したい気持ちもあるかもしれませんが、「J’attends ta réponse. (返事待ってます)」は少し直接的すぎるかもしれません。代わりに、今後も連絡を取り合いたい旨を伝える方が自然です。

En attendant de tes nouvelles, …
(あなたからの便りを待ちながら…) ← 締めの言葉の前に添える

Restons en contact!
(連絡を取り合いましょう!)

⑤ フランス語の締めの言葉と署名

最後に、締めの言葉(formule de politesse finale)と自分の名前(署名)を入れます。締めの言葉は、本文から1~2行空けて、右寄せ、または左寄せで書きます。名前はその下に。

Amicalement,

Sayaka

親しい友人への手紙で最も一般的な締めの言葉は「Amicalement (アミカルモン / 友情を込めて)」です。「Bien amicalement」とすると、より心のこもった印象になります。

他にも友人向けのカジュアルな締めの言葉には以下のようなものがあります。

  • Amitiés. (アミティエ / 友情を込めて)
  • Toutes mes amitiés. (トゥットゥ メザミティエ / 心からの友情を込めて)
  • Bien à toi. (ビアン ナ トワ / 親愛なるあなたへ ※男性にも女性にも使える)
  • Je t’embrasse. (ジュ タンブラッス / キスを送ります ※非常に親しい友人や恋人へ)
  • Bisous. / Grosses bises. (ビズー / グロス ビズ / キス ※メールやSNSで多用)
  • À bientôt. (ア ビアント / またね)
  • À très bientôt. (ア トレ ビアント / またすぐにね)

相手との関係性に合わせて選びましょう。署名は、通常下の名前だけでOKです。

手紙の最後に署名をしている様子

(締めの言葉と署名で手紙を締めくくります)


フランス語のお礼の手紙の形式とマナー

友人への手紙:敬語は使うべき?「Tu」と「Vous」の使い分け

友人へのお礼の手紙で悩むのが、敬語(vousを使うべきか)の問題かもしれません。日本語では手紙だと少し改まった言葉遣いになりがちですが、フランス語ではどうでしょうか?

基本的には、普段の会話で使っている人称(tuかvousか)を手紙でもそのまま使うのが自然です。フランス人は日本人ほど厳密に敬語を使い分けるわけではなく、年齢差があっても親しい友人同士であれば「tu」を使うのが普通です。

普段「tu」で話している相手に対して、手紙だからといって急に「vous」を使うと、かえってよそよそしく、距離を置いているような印象を与えてしまう可能性があります。感謝の気持ちを伝える手紙では、むしろ親しみを込めて「tu」を使う方が良いでしょう。

もし、友人というほど親しくはないけれどお世話になった方へ手紙を書く場合は、普段「vous」で話しているなら、手紙でも「vous」を使います。例文の「te」を「vous」に、「ton/ta/tes」を「votre/vos」に、「tu」に対する動詞活用を「vous」に対する活用に変えればOKです。

フォーマルな手紙でのお礼の場合

ビジネス上の関係者や、公的な機関、あまり親しくない目上の方などへ、フォーマルなお礼状を書く場合は、言葉遣いや形式が異なります。

  • 宛名:Monsieur le Directeur, (部長殿)」「Madame Dupont, (デュポン様)」のように、「Monsieur/Madame + 役職/姓」で始めます。
  • 本文: 常に「vous」を用い、丁寧な言葉遣いを心がけます。感謝の表現も「Je vous remercie sincèrement de…」や「Je vous suis très reconnaissant(e) pour…」など、より改まった表現を使います。
  • 締めの言葉: 非常に長く、定型的な表現が使われます。以下はその一部です。

    Je vous prie d’agréer, Madame, Monsieur, l’expression de mes salutations distinguées.

    Veuillez recevoir, Madame, Monsieur, mes sincères remerciements.

    Dans l’attente de votre réponse, je vous prie de croire, Monsieur, en l’assurance de mes meilleurs sentiments.

    これらの定型句は「敬具」にあたるものですが、状況や相手との関係性によって使い分けが必要です。最初は難しく感じるかもしれませんが、ビジネスレターの書き方などを参考にしましょう。

  • 署名: フルネームで署名します。

フランス語での手紙の楽しみ方

フランス語で手紙を書くのは、単語を調べたり、文法を確認したりと、少し手間がかかるかもしれません。しかし、その労力に見合うだけの楽しみや喜びがあります。

現代ではSNSやメールでのやり取りが主流ですが、だからこそ、心のこもった手書きの手紙を受け取ると、相手はとても嬉しい気持ちになるはずです。あなたが時間をかけて、自分のためにフランス語で手紙を書いてくれた、その事実自体が素晴らしい贈り物になります。素敵な便箋やカードを選んで送れば、喜びはさらに増すでしょう。

相手に喜んでもらえるかな、と考えながら文章を練ったり、レターセットを選んだりする時間は、それ自体が楽しい体験です。そして、頑張って書いた手紙に返事が来た時の喜びは格別です。文通を通じて、友人との絆をさらに深めることができます。

また、手紙を書くことは、フランス語のライティング能力を向上させる絶好の機会です。SNSのような短い文とは違い、ある程度の長さの文章を構成し、適切な単語や表現を選び、文法的な間違いがないか確認する作業は、あなたのフランス語力を着実に鍛えてくれます。

次にその友人に再会した時、以前よりもずっと上達したあなたのフランス語に、相手はきっと驚くはずです。そんな未来を想像することも、学習のモチベーションにつながるのではないでしょうか。

まとめ

今回は、親しい友人へ送るフランス語の感謝の手紙の書き方について、例文を交えながら基本的な構成、使えるフレーズ、マナーなどを解説しました。

最初は、フランス語で手紙を書くことに難しさを感じるかもしれません。しかし、大切なのは完璧さよりも、感謝の気持ちを伝えたいという誠実な心です。今回ご紹介したポイントやフレーズを参考に、まずは短い手紙からでも挑戦してみてはいかがでしょうか。

手書きの文字には、デジタルなメッセージにはない温かみがあります。あなたの心のこもったフランス語の手紙は、きっと国境を越えて相手の心に届き、素晴らしい思い出として残ることでしょう。

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ソフィー(Sophie) この記事を書いた人

来日(1998年)以来23年間、日本でフランス語指導に携わるベテラン講師(京都在住)。パリでの生活経験も有します。最大の強みは、日本語でのコミュニケーションが可能な点です。
パリではECEインターナショナルスクールにてクボタ・ヨーロッパの従業員(日本人)に指導。来日後は、エスパス・フランセ語学学校、日本女子大学、桐朋学園高校、外務省、その他企業にて、初心者から上級者まで豊富な指導経験を有します特に初心者の方が躓きやすい発音について、「難しくない」と感じられるよう基礎から丁寧に指導することに注力しています。 忍耐強く、発音や文法を丁寧に繰り返し指導するのがモットー。グラフィックデザインのスキルを活かし、描画を取り入れた分かりやすい説明も得意です。ご希望に応じて英語でのフランス語レッスンや、アートレッスン(仏語/英語)も提供可能です。

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