フランス語で彩る【花】会話:好きな花は?定番の花の名前から国花、文化まで徹底ガイド
マルシェ(Marché)で色とりどりのブーケ(bouquet)を気軽に選んだり、アパルトマンの窓辺をゼラニウム(géranium)で飾ったり、大切な人に心を込めて花束を贈ったり…。フランス人の日常には、いつも美しい花(fleur)があふれています。ガーデニング(jardinage)を楽しむ人も多く、生活空間に彩りと潤いを与えてくれる花は、フランス文化に深く根付いていると言えるでしょう。
今回は、そんなフランスと切っても切り離せない「花」をテーマに、フランス語を楽しく学んでいきましょう。好きな花について語り合う会話から、様々な花の名前、色や香りの表現、そしてフランスならではの花文化まで、幅広くご紹介します!

パリの街角にある花屋さん(Fleuriste)。見ているだけでも心が華やぎます。
目次
フランス語会話:好きな花を語ろう
花子 (Hanako) と マリー (Marie) が、お互いの好きな花について話しているようです。どんな花の名前が出てくるでしょうか?
登場人物
- Hanako (花子): 日本人女性。淡い色の花が好き。
- Marie (マリー): フランス人女性。明るい色の花が好き。
会話
Marie: Dis, quelle est ta fleur préférée?
ねえ、あなたの一番好きな花 (fleur préférée) って何?
Hanako: Hum, j’aime les fleurs comme la rose et la pivoine avec une couleur pâle.
う~ん、色の薄い (couleur pâle) バラ (rose) やボタン (pivoine) みたいな花が好きよ。
Hanako: Et toi ?
あなたは?
Marie: Moi, j’aime les fleurs avec une couleur vitaminée comme le mimosa, le tournesol, et la tulipe.
私はミモザ (mimosa)、ヒマワリ (tournesol)、チューリップ (tulipe) みたいなビタミンカラー (couleur vitaminée) の花が好きよ。
Hanako: Elles te représentent bien ces fleurs.
あなたの好きな花たちは、あなたをよく表している (représenter bien) みたいね。
Marie: J’aime bien aussi les fleurs qui poussent à la campagne comme le coquelicot et la fleur de colza.
田舎 (campagne) に咲いている (pousser) ような、ヒナゲシ (coquelicot) やセイヨウアブラナ (fleur de colza) の花も好きよ。
Hanako: Je vois. Quand on sort en voiture au printemps, j’adore regarder le champ qui est tout jaune de fleur de colza.
分かるわ (Je vois)。春 (printemps) に車で出かけたときに、セイヨウアブラナの花で黄色 (jaune) に染まった畑 (champ) を見るのが大好きだもの。
Hanako: Parfois, on trouve un champ tout bleu. Je me demande quelle fleur il s’agit.
時々 (Parfois)、青 (bleu) に染まった畑もあるの。何の花なのか気になる (Je me demande quelle fleur il s’agit) のよね。
Marie: Ça doit être la couleur du bleuet.
それはきっと矢車草 (bleuet) の色だと思うわよ。
ワンポイント表現:相手の好みを聞いてみよう
Quel est ton / ta … préféré(e) ? (君の一番好きな~は何?)
会話の冒頭でマリーが使った Quelle est ta fleur préférée? は、相手の一番好きなものを尋ねる定番のフレーズです。「〇〇」の部分に好きな名詞を入れ、その名詞の性に合わせて quel
/ quelle
と préféré
/ préférée
の形を変化させます。
- Quel est ton livre préféré ? (君の一番好きな本は?) – livre は男性名詞
- Quelle est ta chanson préférée ? (君の一番好きな歌は?) – chanson は女性名詞
- Quelle est votre couleur préférée ? (あなたの一番好きな色は何ですか?) – 丁寧な聞き方 (votre)
相手の好みを知ることは、コミュニケーションの第一歩。色々な単語を当てはめて、友人や同僚、気になる人に質問してみると、会話が弾むきっかけになるでしょう。
もっと豊かに!花を表現する言葉
花について話すとき、色や香り、全体的な印象を表現できると、より会話が豊かになります。便利な形容詞や表現を見ていきましょう。
🎨 色の表現 (Exprimer les couleurs)
会話に出てきた色の表現です。
- une couleur pâle: 淡い色、薄い色 (ピンク、クリーム色など優しい印象)
- une couleur vitaminée: ビタミンカラー (黄色、オレンジ、赤など元気で明るい印象)
その他の色の表現:
- vif / vive: 鮮やかな (例: un rouge vif 鮮やかな赤)
- foncé(e): 濃い (例: un bleu foncé 濃い青、紺)
- clair(e): 明るい、薄い (例: un vert clair 明るい緑)
- pastel: パステルカラーの

バラ (Rose) とボタン (Pivoine) の「couleur pâle」は、優雅でロマンチックな印象を与えます。
👃 香りの表現 (Exprimer les parfums)
花の魅力の一つは香りですね。
- un parfum: 香り、香水 (良い香りについて使う)
- une odeur: におい、香り (中立的、または悪いにおいにも使う)
- sentir bon: 良い香りがする (動詞句)
- être parfumé(e): 香りがつけられている、香りが良い
例文:
- Cette rose sent très bon ! (このバラはとても良い香りがする!)
- J’adore le parfum des lys. (ユリの香りが大好きです。)

ミモザ (Mimosa)、ヒマワリ (Tournesol)、チューリップ (Tulipe) の「couleur vitaminée」は、見る人を元気づけてくれます。
✨ 花を形容する言葉 (Adjectifs pour décrire les fleurs)
花を褒めたり、印象を伝えたりするのに役立つ形容詞です。名詞の性・数に合わせて変化させるのを忘れずに。
- beau / belle: 美しい
- joli(e): きれいな、かわいらしい
- magnifique: 素晴らしい、豪華な
- splendide: 輝くばかりの、見事な
- élégant(e): 優雅な、上品な
- délicat(e): 繊細な、か弱い
- charmant(e): 魅力的な
- frais / fraîche: 新鮮な
- simple: シンプルな、素朴な
- sauvage: 野生の
例文:
- Quel magnifique bouquet ! (なんて素晴らしいブーケでしょう!)
- J’aime les petites fleurs sauvages. (私は小さな野の花が好きです。)
フランス語で覚えたい!人気の花図鑑
フランスの花屋さん (fleuriste) や庭 (jardin)、野原 (champ) などでよく見かける花の名前を確認してみましょう。性の区別 (m=男性名詞, f=女性名詞) もチェック!
- une amaryllis (f) アマリリス
- une anémone (f) アネモネ
- un arum d’Éthiopie (m) カラーリリー
- un bégonia (m) ベゴニア
- un bleuet (m) 矢車草
- un bouton d’or (m) キンポウゲの一種
- un camélia (m) 椿
- un chrysanthème (m) 菊
- un coquelicot (m) ヒナゲシ
- un cyclamen (m) シクラメン
- un dahlia (m) ダリア
- un delphinium (m) デルフィニウム
- une églantine (f) ノイバラ
- une fleur de colza (f) セイヨウアブラナの花
- un freesia (m) フリージア
- un gardénia (m) クチナシ
- un géranium (m) ゼラニウム
- un gerbera (m) ガーベラ
- un glaïeul (m) グラジオラス
- un gypsophile (m) カスミソウ
- un hellébore (m) クリスマスローズ
- un hortensia (m) アジサイ
- un iris (m) アヤメ
- un jasmin (m) ジャスミン
- une jacinthe (f) ヒヤシンス
- une jonquille (f) 黄スイセン
- une lavande (f) ラベンダー
- un lierre (m) アイビー、蔦
- un lilas (m) ライラック
- un lis / lys (m) ユリ
- un lisianthus (m) ユーストマ、トルコギキョウ
- un magnolia (m) モクレン
- une marguerite (f) マーガレット、ヒナギク
- un mimosa (m) ミモザ
- un muguet (m) スズラン
- un muflier (m) キンギョソウ
- un myosotis (m) ワスレナグサ
- un narcisse (m) スイセン
- un œillet (m) カーネーション
- une orchidée (f) ラン
- une pensée (f) パンジー
- une pervenche (f) ツルニチニチソウ
- une pivoine (f) ボタン、シャクヤク
- un pois de senteur (m) スイートピー
- une primevère (f) サクラソウ
- une renoncule (f) ラナンキュラス、キンポウゲ
- un rhododendron (m) シャクナゲ
- une rose (f) バラ
- un souci (m) マリーゴールド
- un tournesol (m) ひまわり
- une tulipe (f) チューリップ
- une violette (f) スミレ
- un zinnia (m) ジニア、百日草
季節を彩るフランスの花々 (Les fleurs des saisons)
季節ごとに楽しめる代表的な花を知っていると、会話も弾みますね。
- Printemps (春): Tulipe, Jonquille, Narcisse, Jacinthe, Muguet (5月1日はスズランの日!), Pivoine, Lilas…
- Été (夏): Rose, Lavande, Tournesol, Hortensia, Géranium, Bleuet, Coquelicot…
- Automne (秋): Chrysanthème (特に諸聖人の日 Toussaint に墓前に供える), Dahlia, Aster, Cyclamen…
- Hiver (冬): Hellébore (Rose de Noël), Pensée, Perce-neige (スノードロップ), Mimosa (南仏では冬に咲く)…

春のフランスの田園風景。黄色い絨毯のようなセイヨウアブラナ (Colza) 畑と、アクセントを添える青い矢車草 (Bleuet) や赤いヒナゲシ (Coquelicot)。
気持ちを伝えるフランスの花言葉 (Langage des fleurs)
日本と同じように、フランスにも花言葉 (Langage des fleurs) の文化があります。花に想いを託して贈るのも素敵ですね。いくつか代表的な例をご紹介します(解釈は様々あります)。
- Rose rouge (赤いバラ): Amour passionné (情熱的な愛)
- Rose blanche (白いバラ): Amour pur, innocence (純粋な愛、無垢)
- Lys blanc (白いユリ): Pureté, majesté (純粋、威厳)
- Tulipe rouge (赤いチューリップ): Déclaration d’amour (愛の告白)
- Muguet (スズラン): Bonheur retrouvé, porte-bonheur (幸福の再来、幸運のお守り – 特に5月1日)
- Mimosa (ミモザ): Sécurité, amour secret (安全、秘めたる愛)
- Myosotis (ワスレナグサ): Ne m’oubliez pas (私を忘れないで)
ただし、フランスでは黄色い花 (fleur jaune) は、種類によっては「裏切り」や「不誠実な愛」を意味することがあるので、贈り物にする際は少し注意が必要かもしれません。(ヒマワリやミモザなどはポジティブなイメージです。)また、菊 (chrysanthème) は日本と同様、お墓参り(特に諸聖人の日)のイメージが強い花です。
謎多き?フランスの国花 (Emblèmes végétaux de France)
【emblèmes végétaux de France】
* emblème (m): 紋章、象徴
* végétal / végétaux: 植物の
フランス語で「国花」は「emblème végétal」と言いますが、フランスの国花となると、話は少し複雑です。
「フランスの国花はユリ (lys)」と思っている方は多いのではないでしょうか?確かに、フランス王家の紋章「フルール・ド・リス (Fleur de lys)」はユリを様式化したものとされ、歴史的にフランスと深く結びついています。そのため、多くの情報源でユリが国花として紹介されています。
しかし、「ユリはあくまで王政の象徴であり、現在のフランス共和国の国花ではない」という意見も根強くあります。フランス語版Wikipediaなどでは、ヤグルマギク (bleuet)、マーガレット (marguerite)、ヒナゲシ (coquelicot) の3つが、第一次世界大戦の記憶とも関連付けられ、象徴的な花として挙げられています(特にBleuet de Franceは戦没者追悼のシンボル)。
実際のところ、国によっては国花を明確に定めていない場合もあります。フランス大統領官邸(エリゼ宮)の公式サイトで紹介されている「共和国の象徴 (Les symboles de la République française)」には、国旗、国歌、マリアンヌ像、標語「自由・平等・友愛」、革命記念日、雄鶏などが挙げられていますが、特定の「国花」は含まれていません。
結論として、フランスには法的に定められた単一の「国花」は存在しない可能性が高いですが、歴史的・文化的に象徴とされる花は複数ある、と考えるのが良さそうです。
フランスの庭園と花の文化
有名な庭園 (Jardins célèbres)
フランスには、息をのむほど美しい庭園がたくさんあります。花好きなら一度は訪れたい場所です。
- ヴェルサイユ宮殿の庭園 (Jardins du château de Versailles): ル・ノートル設計の壮大なフランス式庭園。
- ジヴェルニーのモネの庭 (Jardins de Monet à Giverny): 印象派の画家クロード・モネが愛した庭。睡蓮の池は有名。
- ヴィランドリー城の庭園 (Jardins du château de Villandry): ルネサンス様式の美しい幾何学模様の菜園と装飾庭園。
花市場 (Marché aux fleurs)
パリのシテ島にある花市場(現在はクイーン・エリザベス2世花市場 Marché aux fleurs Reine-Elizabeth-II と改名)のように、フランス各地には活気あふれる花市場があります。季節の花々や珍しい植物、ガーデニング用品などが手に入り、地元の人々の憩いの場にもなっています。
花を贈る文化 (Offrir des fleurs)
フランスでは、誕生日、ディナーへの招待、感謝の気持ち、お見舞いなど、様々な場面で気軽に花を贈る習慣があります。男性から女性へ、だけでなく、友人同士や家族間でもよく贈られます。花束の本数は、奇数 (impair) が好まれる傾向にありますが(偶数は葬儀用とされることもあるため)、あまり神経質になる必要はありません。相手の好みや状況に合わせて、心を込めて選ぶことが大切です。
まとめ
今回は、フランス語で「花」について語るための様々な表現や知識をご紹介しました。花の名前を覚えるだけでなく、色や香り、そしてそれにまつわる文化を知ることで、フランス語の学習がより深く、楽しいものになるはずです。
花屋さんで「この花の名前は何ですか? (Comment s’appelle cette fleur ?)」と尋ねてみたり、友人との会話で「Quelle est ta fleur préférée?」と聞いてみたりするのも良い練習になりますね。特にフランスでは、男性が女性に花を贈る機会も多いですから、意中の人に好きな花をスマートに伝えられるように、想像しながら単語やフレーズを覚えてみるのもおすすめです。美しい花々のように、あなたのフランス語も豊かに花開きますように!