フランス料理にワインは最高のパートナーです。レストランでお料理に合うワインを上手に注文できれば、より楽しい時間が過ごせますね。
今回はそんな場面で役立つフランス語をご紹介します。
フランス語でワインを楽しむ!注文からソムリエとの会話まで
目次
ワインの種類とフランス語の名称
フランスでワインを楽しむためには、基本的な呼び方や味の表現を覚えておく必要があります。
赤ワイン・白ワイン・ロゼワインなど基本的な名称
フランス語でワインは「vin」。まずは基本になるワインの種類別の名称を見てみましょう。
- vin rouge 赤ワイン
- vin blanc 白ワイン
- vin rosé ロゼワイン
赤・白・ロゼワインの名称はとても簡単。「vin」の前にそれぞれ「rouge 赤」「blanc 白」「rosé ロゼ(バラ色)」をつけるだけです。
見かける機会は少ないですが、「vin blanc」の仲間には他の色の名前がついたものもあります。
- vin jaune 黄ワイン
- vin orange オレンジワイン
「vin jaune」はジュラ地方で作られている長期熟成タイプの「vin blanc」。その名が示す通り、通常の「vin blanc」よりも「 jaune 黄色」が強いのが特徴です。
「vin orange」はオレンジワイン、もしくはスキンコンタクトワインと呼ばれるもの。通常の「vin blanc」とは違い、ブドウ果汁と皮を一定期間接触させることで、色素やタンニンなどの成分を移す製法で作られています。
スパークリングワインにはいくつかの呼び方があります。
- vin mousseux (泡立つワイン)
- vin effervescent (発泡性のワイン)
- vin pétillant (パチパチはねるワイン)
「vin mousseux」の「mousseux」は「泡の立つ」という意味の形容詞。「effervescent」も「発泡性の」と同じような意味です。
もしくは「pétillant パチパチはねる」という形容詞を使い「vin pétillant」とも呼びます。なんだか可愛らしい表現ですね。
- vin tranquille 非発泡性のワイン
通常「vin」とだけいえば非発泡性のワインを指しますが、スパークリングワインと明確に区別したい時には「vin tranquille」と呼ぶこともあります。「tranquille」は「静かな、穏やかな」という意味です。
マメ知識:champagneとcrémant
【champagneとは】
フランス語でスパークリングワインといえば「champagne シャンパン」じゃないの?と思った方もいるかもしれません。
「champagne」は「vin mousseux」の一種ですが、同名の「champagne」地方で決められた製法で作られた「vin mousseux」を指します。
つまりフランスの「vin mousseux」でも、「champagne」地方以外で作られたものは「champagne」とは呼べないという決まりがあります。
【crémantとは】
フランスのスパークリングワインには「crémant」と呼ばれるものもあります。
これは「champagne」地方以外で、「champagne」と同じ製法で作られたスパークリングワインのこと。「champagne」と違う種類の「raisin ブドウ」を使うこともできます。
美味しいものが多く、「champagne」よりも手ごろな値段のため人気があります。
有名ワインから地酒まで種類別の名称
「vin」の種類分けは、色や泡の有無だけではありません。どんな傾向の「vin」が飲みたいかを伝えるのも、好みの一本を見つけるために必要です。
- grand vin 有名なワイン(銘酒)
- petit vin 地酒
- vin de terroir 地方の特色のある地酒
- vin vieux 年代物のワイン
- vin nouveau 新酒
- vin de table テーブルワイン
- vin d’appellation d’origine contrôlée = AOC 原産地統制銘柄ワイン
高くても美味しい「vin」が飲みたいなら「grand vin」や「AOC」を選びましょう。ただし「grand vin」と呼ばれるものは、フランスでも当然とても高い!特にレストランでは、しっかり値段を確認してから注文するようにしてください。
反対に、安くて気軽に飲める「vin」がいいなら「vin de table」。安かろう悪かろうではなく、フランスには美味しい「vin de table」もたくさんありますよ。
フランスの地方を旅行するなら、その地方の「vin」を飲みたいもの。そんなときは「vin de terroir」を選ぶとよいでしょう。
ワインの味別の名称
好みの「vin」を見つけるには、味の好みを伝える必要もありますね。まず絶対に覚えておきたい表現はこの2つです。
- vin sec 辛口ワイン
- vin doux 甘口ワイン
ワインの味に関するフランス語は、こちらで詳しくご紹介しています。
フランスのレストランでワインを注文する方法
レストランに「sommelier ソムリエ」がいる場合、「vin」を含めた全ての飲み物は「sommelier」に注文します。
食前の「apéritif 食前酒」から、食事に合わせる「vin」までの注文の流れを、会話を見ながら確認しましょう。
アペリティフの注文方法
ソムリエとの基本的な会話例
フランスのレストランでは、席に着いたらお料理を注文する前に「apéritif」をどうするかを聞かれます。
Sommelier : Bonsoir, qu’est ce que vous voulez comme apéritif ?
ソムリエ:こんばんは。アペリティフは何になさいますか?
Taro : Bonsoir, on prend deux coupes de champagne, s’il vous plait. (Non merci)
こんばんは。シャンパンを2杯お願いします。(結構です。)
Sommelier : Très bien.
かしこまりました。
【coupe de champagne】
シャンパングラスの形は「flute」と呼ばれる背の高く細長いタイプと、「coupe」と呼ばれる口の広がった平べったいタイプの2種類があります。
レストランでグラスシャンパンを頼むと「flute」に注がれてくることが多いのですが、なぜか口広のグラスを指す「coupe」を使い注文します。太郎さんも「deux coupes de champagne シャンパンを2杯」と注文していますね。
また、シャンパングラスには「verre グラス」という単語を使わないので注意しましょう。
アペリティフ注文のポイント
一般的にレストランでは、席に案内され、料理のメニューを渡される前に「apéritif」について聞かれます。
そのときに「apéritif」のメニューを渡されないことが多く、会話中の「sommelier」のように、いきなり何にしますか?と聞いてくるため、何があるかわからず困ってしまうことも少なくありません。
ドリンクメニューを見て決めたい時は、メニューを持ってきてくれるようにお願いしましょう。
Je peux avoir la carte de boissons,s’il vous plaît.
ドリンクメニューをお願いします。
何があるかを質問してもいいですね。
Qu’est-ce que vous avez comme apéritif?
アペリティフは何がありますか?
Qu’est-ce que vous avez comme champagne?
シャンパンには何がありますか?
何にするかが決まったら「prendre (食べ物などを)とる」を使って注文しましょう。
Je prends une pression, s’il vous plaît.
生ビールをください。
「apéritif」をどうするか聞かれると、注文しなくてはいけない気がしてしまいますが、無理して注文する必要はありません。何もいらない時は「Non merci」と断っても大丈夫ですよ。
アペリティフの選び方
会話にも登場した「champagne」はフランスのレストランの定番「apéritif」です。フランスらしくおしゃれで、気分も盛り上がりますね。「champagne」以外だと「vin blanc」も定番です。
お酒が飲めないけど、何か欲しいという人は「Perrier ぺリエ」や「Badoit バドワ」などの「Eau gazeuse 炭酸水」を注文するとスマートです。
気軽なレストランなら「bière ビール」や「coca コーラ」などの「soda ソーダ」を選んでもよいでしょう。
ただしこれらの「apéritif」は繊細な料理には合わないため、高級レストランでは好まれない傾向があります。特にこだわりがないなら頼まない方が無難でしょう。
食事に合わせるワインの注文方法
「apéritif」をいただきながら、のんびりメニューを決めるのがフランス流のレストランの楽しみ方です。そして食事を注文した後に、今度は「liste de vins ワインリスト」から「vin」を選びます。
ワインを注文する際の会話例
Sommelier : Vous avez choisi ?
ソムリエ:お決まりですか?
Taro : Oui, On prend une bouteille de Bordeaux, s’il vous plaît.
はい、ボルドーを1びんお願いします。
【Une bouteille de~ ~を1びん】
「vin」を「bouteille ボトル」で注文するならこの言い方です。ハーフボトルなら「Une demie bouteille de ~」と言います。
グラスワインなら「Un verre de ~」ですね。上記したように、シャンパンとは表現が違うので注意してください。
おすすめのワインをソムリエに尋ねる場合
「liste de vins」を眺めても、どれが良いのか分からない事もありますよね。実はフランス人でも、ワインに詳しくない人は多いので大丈夫。堂々と「sommelier」にアドバイスを求めるのが賢い方法です。
Sommelier : Vous avez choisi ?
ソムリエ:お決まりですか?
Taro : Non pas encore.
いいえ、まだです。
Pour le repas, qu’est-ce que vous nous conseillez ?
食事には何がおすすめですか?
Sommelier : vous préférez le vin blanc ou vin rouge ?
白ワインと赤ワイン、どちらがお好みですか?
Taro : Comme nous avons commandé du poisson, je crois que ce serait mieux le vin blanc.
魚料理を注文したので、白ワインにしようかなと思います。
Sommelier : Oui, alors ce vin se marie très bien avec votre plat, sinon celui-ci est pas mal, rapport qualité prix.
そうですね。このワインは食事に良く合います。もしくはこちらは値段と質のバランスの良いですね。
Taro : D’accord, je prends celui-ci.
そうですね。こちらにします。
Sommelier : très bien.
かしこまりました。
【Qu’est ce que vous nous conseillez ? 何がおすすめですか?】
何かと便利で、覚えておきたい文章です。「Qu’est ce que vous nous recommandez ?」という聞き方もできます。「vin」だけでなく、お料理が決められないときにも使ってくださいね。
【Ce vin se marie très bien avec ~ このワインは~に良く合います】
ワインを語るときに料理との「mariage」というのを耳にした事はありませんか?「mariage」は「結婚」という意味で、普通「se marier」は「結婚する」という意味で使います。
「人」以外が主語の時は「調和する」の意味になり、「vin」と料理の場合は「相性が良い」という意味で使われます。
【celui-ci est pas mal これは結構良いです】
フランス語では「pas mal 結構よい」のように、悪い意味の単語の否定形を良く使います。「c’est bien」ではなく「ce n’est pas mauvais」と言ってみたり。こういった表現のニュアンスは「ほめ言葉」なんですよ。
「Pas mal du tout」と言うと「とっても良い」のニュアンスに変身します。
予算に限りがある場合
「liste de vins」があるようなレストランの場合、「sommelier」におすすめされるままに選ぶと、思いのほか高くなってしまう危険があります。
自分で予算に合う「vin」を選べればいいのですが、なかなか難しいものですよね。
そんな時は「liste de vins」の中にある予算に合う「vin」の値段を指して、「(値段は)大体この位で、料理に合うのを選んで」と「sommelier」にお願いしてしまいましょう。
Pouvez-vous choisir une bouteille de vin qui va avec le menu, entre ça et ça / à peu près ça.
コースに合うワインを一本、これとこれの間位の値段で / 大体この位の値段で選んでください。
※「ça」で希望の値段を指さす
レストランで「vin」の値段の希望を伝えるのは、恥ずかしいことではありません。そして予算に合わない「vin」を開けてお客様を困らせることを「sommelier」は望んでいません。安い「vin」を選ぶなんて馬鹿にされないだろうか、と心配しなくて大丈夫ですよ。
そして「sommelier」はお客様の持ち物や態度を見て、懐具合を見抜くのにも長けています。そのため、大幅に予算オーバーするような「vin」をおすすめされることもないので、安心してくださいね。
ワインと料理のマリアージュ(組み合わせ)の見つけ方
「vin」と料理の「mariage」、基本的に魚には「vin blanc」、肉には「vin rouge」といわれています。他にも同じ土地でとれた食材と「vin」は相性が良いともいわれます。
とはいえ「vin」と料理のベストな「mariage」を見つけるのは簡単なことではありません。「sommelier」や店員さんにどれを選べばいいか質問しましょう。
そしてレストランでは、前菜からデザートまで複数の料理がでてくるため、一本の「vin」がどの料理にもぴったり高相性というわけにはいきませんよね。そんなときは無理に「bouteille」を注文せず、「verre」で注文してしまうのもおすすめです。
レストランによっては、「menu コース」の下に「accord mets et vins:○○euros」と書かれていることがあります。
これはコースの各料理に対して、ぴったりなグラスワインが出てくる「バイザグラス」というシステムのこと。「sommelier」が厳選したベスト「mariage」な「vin」と共に、各料理を楽しむことができます。
ただしコースの料理数が多くなれば、「vin」の「verre」の数もそれに伴い多くなります。何杯も飲めないという場合は、数杯だけ飲みたいとお願いすると良いでしょう。
Je voudrais prendre un accord mets et vins, mais je ne peux pas beaucoup boire.
バイザグラスをお願いしたいのだけど、それほど飲めません。
Est-ce que je peux prendre juste deux verres? Un à l’entrée, et un autre à la viande.
2杯だけ注文できますか?前菜の時に一杯、お肉の時に一杯で。
フランス人がワイン選びで重視する「qualité prix」
「vin」の美味しさは、値段だけで測れるものではありませんよね。そして美味しくても高い「vin」は、一般的なフランス人には手が出るものではありません。
そこでフランス人が重視するのが「qualité prix」。「コストパフォーマンス」のことで、「qualité」は「質」、「prix」は「値段」という意味です。
「vin」の値段はピンキリですが、できれば安くて美味しい「vin」が飲みたいのは、フランスでも日本でも変わりません。
そこで重視されるのが、この「qualité prix」。値段の割に質が良いものは「bon rapport qualité prix」といいます。
お買い得な「vin」を見つけたいなら、フランス人のように安くても美味しい「bon rapport qualité prix」な「vin」を探してみましょう!
まとめ
基本の名称からレストランでの注文方法まで、「vin」に関するフランス語をご紹介しました。
フランスの楽しみといえば食、食といえば「vin」は欠かせませんよね。基本のフランス語表現を覚えて、「sommelier」や店員さんに好みを伝えられるようになれば、きっと好みの一本が見つかります。
「vin」について詳しくなくても大丈夫!今回学んだフランス語で、どんどんプロに相談してくださいね。