フランスの税金②所得税

  1. フランス留学生活・費用

消費税の次に身近な税金といえば所得税ですよね。今回はフランスの所得税のシステムを見てみましょう。

留学でフランス滞在する人にも必須の情報です!

フランスの税金②所得税

フランスの所得税とは

フランス語で所得税は「les impôts sur le revenu」です。

  • impôt 税金
  • sur ~に対する
  • revenu 所得

所得税の「税」は「impôt」ですが、消費税「TVA (taxe sur la valeur ajoutée)」や住民税「taxe d’habitation」のように「taxe」が使われることもあります。この2つは何が違うのでしょうか。

D’un côté, l’impôt y est défini comme un prélèvement obligatoire et direct de l’État alors que la taxe est définie comme une forme particulière d’impôt prélevée par l’État via un intermédiaire.

https://www.jurisource.ca/ressource/capsule-linguistique-tax-taxe-et-impot/
  • définir 定義する
  • prélèvement 天引き、徴収
  • obligatoire 義務的な、強制的な
  • direct 直接の
  • État 国家、政府
  • via ~経由で
  • intermédiaire 仲介者、調停者

こちらのサイトによると、「impôt」は国家によって強制的かつ直接徴収されるもの、「taxe」は仲介を通して国家に徴収されるものとのこと。

どちらも税金には変わりがないですが、徴収方法の違いということですね。

所得税以外の税金については、こちらの記事もご覧ください。

ちなみにテレビ税は2022年度に、そしてほとんどの住民税は2023年度より廃止になっています。

フランスの所得税通知書のクローズアップ。緑色のペンと電卓が部分的に写っています。このフォームには、「République Française」という見出しの下に「Avis d'impôt sur les revenus」というラベルが付いています。'impôt sur les revenus」というラベルが付いています。

フランスの所得税は高い?

フランスは税金が高いイメージがありますが、所得税は日本と比べて高いのでしょうか?所得税の税率や計算方法を見てみましょう。

所得税の税率

ちなみに2023年度の所得にかかる所得税の税率は以下の通りです。

【2024年に支払う2023年度分の所得税率】

~112,294€0%
11,295~28797€11%
28,798~82,341€30%
82,342~177,106€41%
177,106€~45%

最高税率は日本と同じく45%。日本は4,000万円以上が45%ですから、フランスの方が最高税率がかけられる収入額は低いといえるでしょう。(177,106€=約3,011万円 / 1€=170円で計算)

この表の収入額は家族などの申告単位が「une part 1人分」の場合の金額です。つまり、独身で子供など扶養家族がいない場合が当てはまります。

  • part ~の一部分、いくらかの~ 

結婚やPACSなどで一緒に税金申告をするパートナーがいる場合や、扶養家族がいる場合には、その数によって所得額を割ってから所得税を計算する仕組みです。

この「part」の計算は、基本的には大人が「1」、子供などの扶養家族は「0.5」で計算します。しかし死別や離婚、子供の数でも「part」の数字は変わってくるので注意してください。

子供なしの独身、離婚、死別1
子供なしの夫婦2
独身または離婚、子供1人扶養1.5
夫婦または死別、子供1人扶養2.5
独身または離婚、子供2人扶養2
夫婦または死別、子供2人扶養3
独身または離婚、子供3人扶養3
夫婦または死別、子供3人扶養4
独身または離婚、子供4人扶養4
夫婦または死別、子供5人扶養5
独身または離婚、子供5人扶養5
夫婦または死別、子供6人扶養6
独身または離婚、子供6人扶養6

【フランスの少子化対策】

フランスには様々な少子化対策がありますが、所得税の「part」の計算方法もその一つ。

子供が2人までは「大人の人数+子供の数×0.5」、子供が3人以上になるとそれよりも数字が大きくなっていますね。

夫婦と子供2人だと「3」ですが、夫婦と子供3人だと「4」。子供を「0.5」で計算するよりも「0.5」プラスした数字になっています。

この「part」の数字が大きいほど、同じ収入に対しての所得税額は少なくなるため、子供が3人以上の家族は優遇されているといえますね。

【所得税がゼロになる年収上限】

先の表で紹介した通り、フランスでは所得が112,294€以下の場合は所得税がゼロになっていますね。

しかし所得税にはさまざまな控除があり、実際の収入が112,294€以下でないとゼロにならないというわけではありませんし、「parts」の数や独身かカップルかによっても違ってきます。

そこで、実際にいくらまでなら消費税がゼロなのか、気になる数字を紹介します。

parts独身、離婚、死別カップル、夫婦
117,133€
1.522,780€
228,427€32,000€
2.534,074€37,647€
339,721€43,294€
3.545,368€48,941€
451,015€54,588€
4.556,662€60,235€
562,309€65,882€

※参照:Droit-finances.net

カップルで子供が5人いれば、65,882€まで所得税がゼロというのもすごいですね。ここでもフランスが少子化対策に力を入れているのが伺えます。

フランスの所得税は高いといわれることもありますが、所得税がゼロの人が多いのも特徴です。

2023年のL’INSEEの発表によると、2019年のフランスの収入の中央値は1,850€。フランスの人口の半分以下の月収は1,850ユーロ以下、年間にすると22,200€以下ということです。

ちょうど真ん中の22,200€を稼いでいる人が、独身で子供一人だとすると「1.5 parts」になるため、上限は22,780€。所得税は払わなくてよい計算になるのです。

白いシャツを着た女性が、片手に電卓、もう片方の手に赤いペンを持ち、まるでフランス旅行の費用を今知ったかのような驚いた表情でピンク色の背景に立っています。

所得税の計算方法

フランスの所得税は5つに分かれた所得税の段階ごとに計算します。いくつか例で確認してみましょう。

【独身・子供なし】

  • 課税対象額 30,000€
  • 1 part
  • 11,294€まで:0%=0€
  • 11,295€~28,797€:(28,797€ – 11,294€) × 11% = 1925.33€
  • 28,798€~30,000:(30,000€ – 28,797€) x 30% = 360.90€
  • 所得税:0€ + 1925.33€ + 360.90 € = 2,286.23 €

【夫婦・子供なし】

  • 課税対象額 30,000€
  • 2 parts
  • 30,000€ ÷ 2= 15,000€
  • 11,294€まで:0%=0€
  • 11,295€~15,000€:(15,000€-11,294€) × 11% = 407.66€ 
  • 所得税:0€ + 407.66€ =407.66€.

【夫婦・子供2人】

  • 課税対象額 30,000€
  • 3 parts
  • 30,000€ ÷ 3= 10,000€
  • 11,294€まで:0%=0€
  • 所得税:0€

※参照:economie.gouv.fr

所得税の控除

所得税の「税額控除」はフランス語で「réduction d’impôt」もしくは「crédit d’impôt」といいます。

  • réduction 減少、削減
  • crédit 融資、クレジット、貸し方

どちらも計算された所得税額から、支出の項目や金額に合わせて一定額を差し引いてくれるシステムですが、その額に違いがあります。

réduction d’impôt」は差し引いてくれる額は所得税額が上限。所得税額よりも「réduction d’impôt」の額の方が大きくても、返金はありません。

crédit d’impôt」は所得税額よりも「crédit d’impôt」の額の方が大きい場合は、所得税がゼロになるだけでなく、差額も返金されます。

そして、もう一つの税金控除が「déduction d’impôt」。これは「所得控除」に該当するもので、総所得からその額を控除し、控除後の数字で所得税を計算します。

réduction d’impôt」と「déduction d’impôt」、言葉はとても似ていますが、その節税効果には大きな違いがあるので、混同しないように注意が必要です。

もしフランスで所得税の申告をすることがあれば、間違えないように気を付けてくださいね。

主な所得税控除

所得控除の内容はさまざまですが、日本人からすると「こんなものまで⁉」と思うようなものが対象になっています。

【crédit d’impôt】

下記は全て支出の50%が、「crédit d’impôt」として所得税から控除されます。

  • 託児所や保育所 
  • 家庭教師
  • 高齢者や障がい者のアシスタント
  • 家のメンテナンスや家事
  • 簡単な庭仕事
  • 簡単な大工仕事
  • ITやインターネットなどの支援サービス
  • ペットの散歩

家事や庭仕事・ペットの散歩など、日本では通常控除の対象にならないようなものも、控除対象になっているのが面白いですね。

他にもエネルギー削減に関わる家の工事費にも、さまざまな「crédit d’impôt」が適応されます。

【réduction d’impôt】

  • 小学校や中学校の学費 6 €
  • 高校の学費 153€ 
  • 大学の学費 183€ 
  • 寄付 66~75%(*寄付先の性質や金額による)

【déduction d’impôt】

déduction d’impôt」に該当するのは、仕事に関する費用で、家から職場までの交通費や、仕事に必要な服なども含まれます。

これは実際の支出額に関係なく10%(日本の基礎控除に該当)、もしくは実際の支出額に沿った金額を申告する、2つの方法から選択できます。

青いシャツを着た男性が、無地の白い背景を背景に、まるでフランスへの次の旅行を考えているかのように、片手に持った小さな貯金箱をがっかりした様子で見つめている。

フランスの所得税の払い方

税額や計算方法が分ったところで、今度は支払い方法を見ていきましょう。

学生さんで収入0という方にも関係するので、ぜひしっかり確認してくださいね。

フランスも源泉徴収

フランスでも会社勤めなどでお給料をもらっている場合は、日本と同じように「prélèvement à la source 源泉徴収」で所得税が徴収されます。

  • prélèvement 天引き、徴収
  • source

ただしフランスでは「prélèvement à la source」はされますが、日本のように会社で年末調整はしてくれません。

そのため、会社勤めでも必ず「déclaration des revenus 確定申告」をする必要があります。

  • déclaration 届出、申告

prélèvement à la source」では、前年の年収や家族構成などから税率が決められているため、確実な税率ではありません。

仕事を始めたなどで前年よりも大きな収入がある場合は、「déclaration des revenus」で予想より大きな所得税の支払いを求められることもあります。

反対に、「prélèvement à la source」にはさまざまな控除も反映されていないため、所得税が還元されることもあります。

確定申告から支払いの流れ

フランスの「déclaration des revenus」は日本と同様に、前年の収入を翌年の春に行い、同年に支払いをするシステムになっています。

春に前年の収入を申告→夏に税金額の通知→秋に支払い、これが大まかな流れです。

déclaration des revenus」はインターネットでの申告が主流ですが、インターネットが使えない環境の人などは従来通り紙での申告も可能です。

申告期限は5月中旬~6月初旬ごろで、紙での申請よりインターネットでの申請の方が期限が遅くなっています。

住んでいる場所によって申告期限は違い、年によっても変わるので、ニュースや政府のサイトで確認しましょう。

無収入の留学生も申告必須

留学などでフランスに住んでいる場合、収入が無いから関係ないと思いがち。ところが無収入でも申告の義務があるんです!

フランスに住み始めた年の翌年の春に「déclaration des revenus」するのを忘れないようにしてください。

初申告でも基本的にはインターネットで申告しますが、ログインやパスワードがないと申告できないため、最寄りの「centre des finances publiques 税務署」に問い合わせましょう。

  • centre センター
  • finance 財政、財務
  • publique 公の、国家の

電話での問い合わせも可能ですが、フランス語に自信がないうちは、電話での問い合わせは至難の業。直接出向いて教えてもらう方が良いでしょう。

知らずに今まで申告していなかったなんて場合は、過去に遡って申告手続きができるので、できるだけ早く手続きに行ってください。

税務署というと敷居が高いイメージがありますが、意外にも、気さくに親切に手続きのお手伝いをしてくれます。

※参照:economie.gouv.fr

フランスのテーブルに座っている女性が書類を読みながらイライラしている様子だ。

去年の所得税はいくら?

会話

今日はなんだか憂鬱そうなマリーさん、いったい何があったのでしょうか?

Hanako : Bonjour Marie. Oh, qu’est-ce qu’il se passe ? Tu as l’air soucieuse.

こんにちは、マリー。まぁ、何があったの?なんだか心配そうな顔ね。

Marie : Bonjour Hanako. Ce n’est rien.

こんにちは、花子。なんでもないわ。

J’ai reçu l’avis d’imposition ce matin, et j’y pensais…

今朝、税金の通知が来たのよ。それについて考えていたの…

Hanako : Tu l’as déjà reçu ?  Il n’est pas encore arrivé chez nous.

もう受け取ったの?家にはまだ届いていないわ。

La somme est aussi choquante ?

そんなにショックな金額なの?

Marie : Oui, un peu.

ええ、少しね。

Hanako : Pourtant, comme on paye déjà l’impôt sur revenus avec le prélèvement à la source, normalement, il n’a pas grand chose à payer.    

でも、源泉徴収されて所得税はもう払ってるでしょう。普通は支払う金額はそれほどないはずだけど。

Marie : Tu sais, j’ai repris le travail l’année dernière.

ほら、去年からまた仕事を始めたじゃない。

Comme on recalcule avec tous les revenus de famille lors de la déclaration, on nous demande de payer la différence.

確定申告で家族のすべての収入で計算し直されるから、差額を払う必要があるのよ。

C’est normal que les impôts sur le revenu augmentent, mais quand j’ai la somme devant moi, ça me fait un petit effet…

所得税が上がるのは当たり前なんだけど、実際に額を目の前にすると、ちょっとね…

ポイント

j’y pensais

pensais」は「penser 考える」の一人称半過去です。

考える対象のものは「à ~」で表しますね。ですので「j’y pensais」は「je pensais à l’avis d’imposition que j’ai reçu ce matin」の「à」以下を代名詞の「y」で表した文になります。

ça me fait un petit effet

effet」は「結果・効果」の意味。「faire (de l’)effet à quelqu’un」で「(人に)効く・影響を与える」の意味で使われます。

ça me fait un petit effet」の「ça」は「j’ai la somme devant moi  目の前に(所得税の)額がある」状態を指していますね。

文中では「ちょっとね…」と訳しました。具体的な所得税の金額を目にしたことが、精神に影響を与える、という意味になります。

まとめ

フランスの所得税のシステムについて紹介しました。

高い!との声もありますが、医療等の社会保障や子供の教育費の低さなどを考えると、必要な税額だとも考えられます。

留学や仕事、結婚などでフランスに住む場合は、確定申告をするのを忘れないでくださいね。

※2024年7月現在の情報です

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