フランスのミシュランガイドとポールボキューズ

    1. フランス食べ物

    フランスの有名グルメガイド・ミシュランで長年3つ星をキープしてきたポールボキューズはフランス一有名なレストランといっても過言ではありません。

    今回はそんなポールボキューズが、2つ星に降格になった時のフランス人の反応を覗いてみましょう。

    3つ星から2つ星へ

    1月のある日、花子さんとマリーさんはグルメガイドについて話しているようです。

    会話

    Hanako: Tu sais, le restaurant Paul Bocuse  perd un macaron.

    知ってる?レストラン・ポールボキューズがマカロンを1つ失うんだって。

    Il sera rétrogradé dans l’édition 2020 du Guide rouge.

    2020年のミシュランガイドでは、地位が下げられるようね。

    Marie: Oui, je l’ai entendu à la télé.Je suis très choquée.

    ええ、テレビで言ってるのを聞いたわ。すごくショックよ。

    Hanako: Moi aussi. J’avais l’impression que Paul Bocuse était un établissement intouchable.

    私もよ。ポールボキューズは不可侵なレストランのような気がしていたから。

    Marie: Il avait trois étoiles depuis cinquante-cinq ans.

    55年前から3つ星なのよ。

    Et tout ce qu’il a fait Monsieur Paul pour la cuisine française, l’établissement doit être hors classement !

    ムッシュー・ポールがフランス料理のためにしてきたことを考えたら、レストランは格付けから外れた存在であるべきよ!

    Hanako: Sa disparition il y a deux ans, et cette fois-ci, le retrait d’une étoile…c’est un coup dur pour l’équipe.

    2年前の彼の死亡に、今回の星を1つ失って…レストランの皆には災難よね。

    Marie: Michelin fait ça pour créer un buzz!!  

    ミシュランは自分たちの話題が上がるように、そんなことをしたんだわ。

    michelin 2019と書かれたフランスの赤いプレート。

     ポイント

    macaron

    macaron」はお菓子の「マカロン」のことですが、話し言葉では「丸い形の勲章」の意味でつかわれることがあります。

    会話中で問題になっているのはミシュランのガイドで「étoile 星」で評価されています。

    この「étoile」が星というより丸い形をしているため、ミシュランの「étoile」を「macaron」と呼ぶことが度々あります。

    rétrograder

    rétrograder」は「逆行する・(地位が)下がる」の意味です。

    文中では「Il sera rétrogradé」と受動態なので、「地位を下げれらる」となります。

    Guide rouge

    Guide」は「ガイド」、「rouge」は「赤い」。ミシュランのガイドは赤いため、「Guide rouge」とも呼ばれています。

    buzz

    「buzz」英語のマーケティング用語ですが、フランス人もフランス語に混ぜて使うことがしばしばあります。

    主にインターネット上におけるソーシャルメディア等を通じた拡散のことですが、文中の「 créer un buzz 」だと「自分たちの事を話題にあげさせる」というニュアンスです。

    Paul Bocuse

     「Paul Bocuse」といえばフランス料理に興味がない人でも名前を聞いたことがあるくらい、有名なシェフですよね。

    シェフ本人の名前でもありますが、フランスのリヨン近郊にあるレストランの名前でもあります。

    リヨンの北郊外のにある「Pont de Collonges」という町にあり、美食家なら誰でも一度は行ってみたいと夢見るレストランの1つ。

    なんと1965年から55年間もミシュランの3つ星をキープしてきましたが、シェフである 「Paul Bocuse」が亡くなった2年後である2020年に、星を1つ失い2つ星に降格されることになりました。

    フランスの赤い雨戸のついた窓の前に立つシェフの絵。

    2つ星降格への世間の声

    フランスのガストロノミーに多大なる貢献をしてきた「Paul Bocuse」のレストランは、「hors classement」つまり格付け外であるべきだとの声も上がっています。

    反面、何年も星をキープしていてもレストランの質が落ちたら星も失うというのは当たり前で、「Paul Bocuse」といえど例外ではないという声もあります。

    近年の「Paul Bocuse」は「musée 美術館」になってしまい、「Paul Bocuse」が過去に生み出した数々のクラシックな料理に胡坐をかいている、という批判もあったようですね。

    そして「Paul Bocuse」はフランス一有名なレストランといっても過言ではありません。

    そんなまた「Paul Bocuse」を降格させることで、「buzz」を起こし、自社のガイドを話題にあげようとするミシュランの陰謀説もありました。

    まとめ

    実際に行った人にしか今の「Paul Bocuse」が3つ星に値しないかは判断できませんが、2つ星といえど生半可は努力で与えられる栄誉ではありません。

    2つ星降格が記載される2020年のミシュランガイドの発売は1月27日ですが、そのわずか数日前である1月24日に「Paul Bocuse」は3週間の工事のための閉店を経て、再オープンされます。

    新しく生まれ変わった「Paul Bocuse」ですが、星の数に惑わされず、自分で味わって評価してみたいものですね。

    ※2020年1月の情報です。

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